この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
君と偽りのドライブに
第13章 2‐2:ハイキング
なし崩し的にあれから付き合っている風になったけれど、よく考えたらはっきりと言葉にはしていない、彼も、そして私も。
「それは、今、ってこと?」
「今」
彼の顔は真っ赤だった。
そんなに恥ずかしいなら流しておけばいいのに、大人になってからの恋愛じゃ、珍しくもないような話なのに、彼は、駄目なのだ。
「その……つ、」
そこから先はなかなか出てこなかった。
彼は辛うじて私のほうを向いているものの、視線は私の膝に落ちていて、ベンチに置かれた拳は固く握られて白くなっていた。
あ――好きだ。
私、この人のことが、
「好き」
無意識に手が伸びていた。