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君と偽りのドライブに
第13章 2‐2:ハイキング



 なし崩し的にあれから付き合っている風になったけれど、よく考えたらはっきりと言葉にはしていない、彼も、そして私も。



「それは、今、ってこと?」

「今」



 彼の顔は真っ赤だった。
そんなに恥ずかしいなら流しておけばいいのに、大人になってからの恋愛じゃ、珍しくもないような話なのに、彼は、駄目なのだ。



「その……つ、」



 そこから先はなかなか出てこなかった。
彼は辛うじて私のほうを向いているものの、視線は私の膝に落ちていて、ベンチに置かれた拳は固く握られて白くなっていた。



 あ――好きだ。

 私、この人のことが、



「好き」



 無意識に手が伸びていた。


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