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君と偽りのドライブに
第16章 2‐5:蛍光灯のついた部屋
「……っ哲弥……ここ、玄関」
ぎりぎりの息で私がなんとか進言すると、
「有紗の顔見ながらシたい」
彼が、呟くように、耳元で言った。
それは、言葉の内容に反して、まるで小さい子どもが甘えるときのような響きだった。
「有紗だ、って思いながら、シたい」
哲弥が言葉を重ね、
「駄目?」
これが最後の確認だと思った。
それでもちゃんと私の意思を聞いてくれる哲弥は優しい。
「見ても嫌いにならないでね」
「なるかよ」
彼が私を抱く手が、私の胸を掴む手が強くなる。
「俺で感じてよ、有紗」
……もう、感じてるよ。
一週間前から、ずっと。
彼の胸に頭を押し付けるように頷いたので、髪がくしゃ、と乱れた。
哲弥が力強く私の脚を掬い上げ――一週間前はそれが叶わなかったことを思い出す――彼は私を横抱きにして居室に戻ると、再びベッドの上に寝かせた。
私を見下ろす哲弥の目は、獣のようにギラついていた。