この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
君と偽りのドライブに
第3章 1‐2:真意



「ばあちゃんが倒れて……」



 彼は食後のコーヒーとともに、ようやく重い口を割った。

「おばあちゃんって、あのよく遊んでくれてた?」

「そう、今も両親と実家に住んでる」

 正確には、今現在は入院してるんだけど、と哲弥は目を伏せた。



「元気そうだったのになあ」

と私は哲弥のおばあちゃんを思い起こしたけれど、よく考えたら私が最後に会ったのは、就職が決まった春だ。

もう五年も前。自分の両親だって帰省する度に老いを感じてどきっとするのに、まして。



「倒れたって、どうして?」

「軽い脳卒中。まだぜんぜん、死ぬかもとかって話じゃないし、自分で歩いたりもできるらしいけど」



「ならよかった……けど、心配なことに変わりはないね」

 彼の心境を慮ってそう言うと、哲弥は黙って頷いた。

「一昨日の夜、仕事終わってから見舞いに行ったんだけど、体はともかく、……すげえ弱気になっちゃっててさ」

 哲弥の表情も重たい。

「俺の嫁も見ないで死ぬんだなんて言うもんだから……つい……彼女連れてきてやるから頑張れということに」



「……彼女、いないの?」

「いたら、有紗にこんなこと頼んでません 」



 そりゃそうだ。



 さっきから、哲弥の視線が忙しなく彷徨う。


/121ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ