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君と偽りのドライブに
第17章 2‐6:ぜんぶ知りたい
私に覆い被さるように深いキスをして、哲弥の唾液か私の唾液かわからないものが、私の口の端から流れ落ちた。
それを彼は舐め取って、私のブラウスの裾から手を入れた。
素肌をなぞる彼の手は冷たかった。
「慣れてんね」
無言に耐え切れなくなった私がそう言うと、彼は私の胸に触れる直前で、動きを止めた。
「……そんなこと、ないよ」
哲弥が目を逸らす。
「でも、はじめてではないんでしょ?」
それには薄々気がついていた。
彼は、うっと息を止めた。
けれど彼は、高校生のときに、香澄ちゃんに私が好きだということがバレたと言っていた。
真面目で目立たない優等生だった哲弥が、中学以前にそういう経験をしたとは考えにくかった。
「……聞きたくなくない? そういう話」
私がさっき言ったのと似た台詞を、彼は口にする。
正直――知りたいかと言われると、そんなに知りたくはない。
けれど、この疑問を持ったままこれ以上進んでも、完全には身を預けられないという思いのほうが強かった。