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人妻の愁い(憂い)
第4章 パートタイムラブ…
 ⑦

「はぁ、あん、ああ、ゆ、祐也さん…」

「ゆ、悠里さん…」

 わたしはあの男、祐也さんに抱かれていた…



 映画舘のエントランスホールで…

「え、だ、だって、アナタは…責任をって?…」

「あ…は、はい、だから…
 だ、だから、その責任て…」

 わたしはそう言いながら、淫らに欲情に濡れた、淫靡な目で見つめ…

 このわたし自身の昂ぶりの疼きの想いを精一杯この目に込めて…

 伝えたのだ…

 そして…

「あ、え、あ…ま、まさか…」

 その想いは伝わり…

「こ、ここじゃ…イヤ…」

 最後にそう囁くと彼は黙って頷き、今度はわたしの手をギュッと握り返し…

 タクシーを拾い、彼、祐也さんの自宅マンションに連れてきてくれ…

 こうして今…

 わたしは抱かれているのだ…


「わたし…は…ゆ、悠里…」

「あ、ゆ、祐也です…」

 彼はそう言うなりベッドに押し倒し、激しく唇を貪ってきた…

「はぁ、あ、ぁぁ…ん…」

 いつも…

 午前9時前後に缶ビールとお弁当を買っていくから…

 てっきりわたしともう一人のパート仲間は…

 アパート住まいの、工場等の勤務の夜勤明けの男で、普通の独身男か、バツイチ位の男だと想像していたのだが…

 住んでいるマンションは比較的高層階の、やや高級な、きれいなマンションであり…

 チラとドアの隙間から覗けた、隣の部屋には確認できる範囲でパソコンが4台も併設されており…

 トレーダーなのか?…

 そんな事を想起させ…

 また、清潔感溢れる寝室でもあった…

「はあ、ゆ、祐也さぁん…」

 彼は激しく、かつ、優しく、キスをしながらわたしの服を…

 ブラウスを…

 スカートを…

 丁寧に脱がし…

「はあっんっ…」

 そして脚を、まだストッキングを穿いたままの太腿に…

 舌先を這わせてきたのだ…


 そして彼は、祐也さんは…

「さっきは偶然、隣の席に、いつもコンビニで見掛けている…」

 憧れのお姉さんが…

 いや、アナタ、悠里さんが座っていて…

 そして映画館の暗闇の中に妖しく浮かび上がっていた、この…

 美しい脚を見た瞬間に…

我慢出来なくなっちゃって…

 つい…

 と…
 そしてわたしの脚を、ストッキングを穿いたままの太腿を舐めながら…
 そう囁いてきたのだ。




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