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淫魔の宿へようこそ
第2章 訪ねてきた料理人



「ふふっ、そんなに慌てて食べなくても大丈夫ですよ」

「…………(もぐもぐ)」

「おかわりはあるからゆっくり食べてくださいね」

「……(ごくん)」

「でもこんなに食べるなんて、よっぽどお腹が空いてたんですね?」

「……(ごくんっ)」

テーブルの上に何枚かの皿が積み上がる頃。
そこでようやく、少年が顔をあげました。

その瞳はきらきらと輝いていて、なんとも嬉しそうに微笑んでいました。

「すごく美味しい。  やっとここに料理人が来てくれた。 待ってたんだよ」

「えっ?……あ、ああっ」

そう、自分は、ここで働くために来たのに!
ニコラスはすっかりと忘れていました。

「こ、こちらこそよろしくお願いいたしますっ! えっと……わ、俺は、ニコラス・オレームっていいます!」

「僕はドルード・ウィルキンソン。  これは相棒のマエロだよ」

「わん!」

こうして二人と一匹は出会ったのでした。



「ところで、ドルードさんはなんで倒れていたんですか?  お腹が空いていたのは分かりますが…食糧庫に食材がありましたし……もしかして、病気か何か…」

不思議なことにドルードという少年は、物を口にすればするほど、あっという間に顔や体に生気が満ち溢れたように変化していきました。

今の彼は青年になりかけの体型といって遜色なく、病弱そうな雰囲気などどこにもありません。



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