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淫魔の宿へようこそ
第4章 悪魔のお客様達
そして
「君がホテルの新しい料理人かね? 噂はかねがね。私はベルゼ」
その人は、まるで女性のような柔らかい声でニコルに挨拶しました。
「は…はじめまして! ニコルです」
「ふふ……そんな緊張することはないですよ」
(なんて綺麗な人……というか、私、なんだかさっきから動悸がおかしくないですか)
「よろしくね、ニコルさん?」
(うっ、そして素敵な笑顔)
ニコルはいちいち高鳴ってしまう胸を必死に抑えました。
遠巻きに、そんなニコルの様子をドルードが複雑な表情で見つめています。
それから到着したのは、頭が黒いニワトリのような人の姿のお客様。
「ドルード、この娘が新しい料理人?」
「ああ。 そうだよ」
「そうか……」
(わ……っ!)
ニワトリはニコルをジロリと見下ろしました。
それから、ふんと鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまいます。
(こ、怖い……でも、ドルードさんと親しいならきっといい人なんだわ)
今度は一体どんな方かな?
それからもお客様達は次々とやってきました。
今度はトカゲみたいな爬虫類のような出で立ちの人。
「おお!ドルード殿ではないか!」
そのトカゲも人間の言葉で喋っています。
「やあ、久し振り。 千切れた尻尾の調子はどう?」
なんでもないさ、とでもいいたげに彼がしっぽをビタンビタンと振ってみせます。