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淫魔の宿へようこそ
第4章 悪魔のお客様達
お客様が揃い、ホテルドルードの晩餐会が始まりました。
「この肉の柔らかさといったら!!」
「このシチューのウサギもなかなかのものだよ」
「美味しいよ、ドルード!」
「ありがとう」
お客様達は皆一様にニコルの料理を褒めたたえてくれました。
そんな彼らにドルードは微笑んでいますが、ニコルから見るとその表情にはどこか翳りがあるような気がしました。
最後のデザートを出し終わり、ニコルがやっと一息をつきました。
「ドルード、今晩の晩餐会もとても良かったよ。 何年振りだろうね?」
「人間界で我々が集まれる所などそうそう無いからなあ」
お客様達はグラスを片手にめいめいにお酒などを楽しみながら談笑しているようです。
ニコルは厨房からその様子を観察していました。
「良かった。 皆さん美味しそうに食べてくれたみたい。 ふう……緊張が抜けたらお手洗いに行きたくなったな」
エプロンを取ったニコルは厨房を出て、廊下を歩き始めました。
「でも、なんだかドルードさんが上の空…キャッ…!」
ぶつかりそうになったのは…確かサイラスと呼ばれた天使のような男性です。
「ごめん、ああ…君は」
「すみません。 あ、あの……っ」
彼の顔を見た途端、ニコルは真っ赤になってしどろもどろになってしまいました。
そんなニコルをサイラスは静かに見下ろしていました。