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淫魔の宿へようこそ
第4章 悪魔のお客様達
「ドルード。いやあ、ついね。 この子が凄く美味そうで」
サイラスが再びニコルの首筋に顔を近づけました。
(ひゃああああっ!?)
「止めなよ」
ドルードは素早くニコルを抱き寄せ、サイラスから引き剥がして彼女との間に立ちました。
「駄目だよ、サイラス」
そんな彼の様子をサイラスがじいっと観察していました。
「ドルード、その子、もしかしてお前の? まさか趣旨変え…ってか、つまみ食いってわけか? あんまりそんな匂いはしねえけどな」
「僕の料理人だよ……行こう、ニコル」
「?は、はい」
そしてニコルとドルードはその場を後にしました。
「……シリア……のかな?」
サイラスが後ろから何かを言ってきましたが、それは他のお客様達の笑い声にかき消されたようでした。
二人はしばらく無言で廊下を歩いていましたが……やがてドルードの方から口を開きました。
「ごめんね。 変な奴でびっくりしたでしょ?」
「え? あ、いえ……確かにちょっと…かなり怖かったですけど……」
「でも、彼……サイラスは悪い奴じゃないんだけどね。 僕の長年の友人だし」
「そうなんですか?」
「うん。 ただ何ていうか……人間の女の子はインキュバスの大好物でね。 安全のために少し僕の匂いを付けさせてもらうよ」