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淫魔の宿へようこそ
第6章 ニコル


ドルードの部屋を飛び出した次の朝、ニコルはホテルの外に出かけてみました。

……ホテルの周りはさして柵などは無い場所でしたが、それでも扉の横の看板、それからホテルに向かう道の途中に古い木の杭が立てかけてあります。

そこにもやはり汚ったない字で〈ホテル ドルード〉とボードが引っ掛けてありました。


『クスクス……この人ってば昔から、字だけはへったくそなのよね。 杭にあるボードを見た? 生前の会話なんかいつまでも律儀に覚えてて、こんなホテルなんて建てちゃって馬鹿みたい』


夢から覚める前に、地下のセシリアがニコルに遺した言葉。

『あーあ、やっとこんな狭い穴ぐらから解放されるのね。 せいせいするわ……』

それもニコルだけに聞こえたようでした。


「セシリアさん……」




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