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淫魔の宿へようこそ
第6章 ニコル
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ニコルは昼間の仕事を怠ることはしませんでした。
それは格段に働きやすくなったせいもあります。
ニコルの他の悪魔やインキュバスへの妙な感情は嘘みたいに消えて、彼女はサイラスとも普通に雑談を交わすようになっていました。
厨房の窓から気さくに話しかけてくる、よくよく話してみれば彼は最初のドルードの言葉通り、とても良い人のようです。
それにドルードによるとサイラスはセシリアの兄と聞き、やはり髪や瞳の色など、二人はそっくりでした。
「やっと逃げなくなったと思えば、確かにこりゃ奴の匂いがぷんぷんしやがる……あの結構な堅物がどういった風の吹き回しだ」
片方の眉を上げたサイラスが不思議がって聞いていて、それにニコルは何も返すことが出来ません。
「……それにニコル。 お前って、いつからそんな浮かない顔するようになったんだ?」
どこかでそんな素振りを見せていのか。 ニコルは平静を装いました。
「え、大丈夫です。 いつも通りですよ。 ところで、前から不思議に思ってたんですけど、インキュバスはなぜ……その……することでお腹が満たされるんですか?」
自分をセシリアだと思い込んでおり、〈そうでない〉ドルードにはちょっと聞きづらかったことでした。