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淫魔の宿へようこそ
第6章 ニコル
一応はレストランの雰囲気を壊さないよう、ドルードが小声で注意しに来ます。
「ごめんなさい。 私も…お客様と話したくって」
これは事実なので、ニコルは慌ててサイラスを庇いました。
「まあ、確かに……厨房には話さないエビルしかいないからね。 だからって、一人の客と長話は良くないよ」
肩を竦めたサイラスとニコルは、それはもっともだと頷き合います。
「邪魔したな。 今度仕事抜きでゆっくり話そうぜ」
「はい!」
片手を上げたサイラスが去っていきました。
「ふ…さすがにもうニコルを見る目が違うね。 よく喋るでしょ、奴」
「そうですね。 私も皆さんと普通に接することが出来て嬉しいです」
ドルードもふんわりと微笑みました。
「そう。 それ切ってるの、デザートのブラウニー? 僕やろうか」
「えっ、ドルードさんが料理を!?」
「料理って程? 二人がかりじゃほら、エビルがホイップするのしんどそうだし」
見れば生クリームの入った大きなボールを支え泡立て器を掻き回す。 それは小さな彼らには結構な重労働らしく、息を切らしながら交代で作業してくれているようでした。
「あっ! エビ蔵さん、エビ美さん。 ごめんなさい」
エビル達がフルフルと首を横に振って(本人にはそんなつもりはないのでしょうが)悪そうに口角をあげました。