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淫魔の宿へようこそ
第7章 背徳を覆う淫魔の愉悦
ニコルの脳裏に浮かぶ、腰まで届く銀の髪を持った綺麗な女性。
自分とセシリアとはまるで違うと思うからです。
(ドルードは私の男の子みたいな短い髪に、がっかりしてるだろうな……)
そんな自分を彼がセシリアと呼ぶ、それに対して感じる気持ちはきっと罪悪感なのでしょう。
ドルードを好きな自分は、ひょっとしてセシリアを利用しているのではないか、と。
………彼が今、自分に向けてくれている愛おしい者に対する表情。
それは「ニコル」へのものではないからだと思うからです。
「わ、私はまた、髪を伸ばしますね……?」
遠慮がちに言ったニコルに、ドルードは軽く微笑みました。
「君の好きなようにすればいいよ」
(以前は伸ばした方がいいって…言っていたのに)
些細な彼の変化。
そんなものにいちいち反応してしまうニコルは自分が嫌になってしまいます。
それでいて、
「今の君をもっと見せて欲しい」
甘い声で囁いてくるドルードに胸が高鳴ります。
腰を上げた彼からの、テーブル越しのゆるりとした優しい口付け。
短く軽いキスでしたがそれは息をつく暇もないぐらいで、まるで静かに降り付ける小雨のよう。
しっとり湿りを与えられる頃合いに彼の唇が離れます。
「ん…ふ…」