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千一夜
第10章 第二夜 パヴァーヌ ⑥

主人が父に代わって社長になると、主人は新しい会社を作った。社長はエロかんこと関一夫。社員は主人の学生時代の友人五人。廃業した都内の小さな工場を購入して、エロかんのチームは始動した。
家にも帰らず工場で寝泊まりしているエロかんと主人の友人達は、皆から気味悪がられていた。一体何を研究しているのか、何を作ろうとしているのか、周りは何も知らなかったのである。
毎月毎月何千万何億というお金が父の会社から主人の新しい会社につぎ込まれた。けれど一向に成果が上がらない。いや上がらないのではなく成果が見えないのだ。
父の後を継いだ主人の信頼が崩れそうになった。さすがに父も業を煮やして主人を問い詰めた。
「お前は何をやっているんだ!」
主人は父から好かれてはいない。しかしこれほど怒った父を私は見たことがなかった。
「仕事です」
主人は怯むことなくそう父に言った。
それから一月後、主人の会社が研究結果を発表したのだ。研究と試作品が披露された。買い手は発表の翌日に現れた。二十四時間かけて買い手企業の研究者数十人は、主人の会社の研究論文を照査した。
二年も経たずに主人が作った会社は、何百億という金額を手に入れた。現在主人の作った会社は上場されている。筆頭株主は父の会社で二位は関一夫、三位からは五人の創業メンバーが株主名簿に名前を連ねる。しかし主人の名前は会社にも株主名簿にもない。主人は絶対に表舞台には立たない……いや立てないのだ。
水と油だと思っていた父と関だったが、今ではゴルフや旅行に一緒に行く仲になった。ちなみに関は、私の父の前でも主人を早川と呼ぶ。
「早川の物理はアインシュタインで終わっている。それは学問から逃げているということだ。アインシュタインを一ミリでも追い越すことが我々の使命なのだ」
酒に酔うと関は必ずそう言う、困ったことに私たちの子供の前でも言うのだ。でも主人はそんな関を一ミリも責めたりせずに笑っている。
「もう来ないでください」と私がエロかんに言ったたら、エロかんはこう返した「もう来ないでくれと言われても僕は行くよ。だって飛鳥ちゃんのお家じゃないと高い酒飲めないからさ。それに翔太と俊太を東大に入れるという役目が僕にはあるからね。だから心配しないで早川とエッチしていいんだよ」
エロかんはやっぱりエロかんだった。
家にも帰らず工場で寝泊まりしているエロかんと主人の友人達は、皆から気味悪がられていた。一体何を研究しているのか、何を作ろうとしているのか、周りは何も知らなかったのである。
毎月毎月何千万何億というお金が父の会社から主人の新しい会社につぎ込まれた。けれど一向に成果が上がらない。いや上がらないのではなく成果が見えないのだ。
父の後を継いだ主人の信頼が崩れそうになった。さすがに父も業を煮やして主人を問い詰めた。
「お前は何をやっているんだ!」
主人は父から好かれてはいない。しかしこれほど怒った父を私は見たことがなかった。
「仕事です」
主人は怯むことなくそう父に言った。
それから一月後、主人の会社が研究結果を発表したのだ。研究と試作品が披露された。買い手は発表の翌日に現れた。二十四時間かけて買い手企業の研究者数十人は、主人の会社の研究論文を照査した。
二年も経たずに主人が作った会社は、何百億という金額を手に入れた。現在主人の作った会社は上場されている。筆頭株主は父の会社で二位は関一夫、三位からは五人の創業メンバーが株主名簿に名前を連ねる。しかし主人の名前は会社にも株主名簿にもない。主人は絶対に表舞台には立たない……いや立てないのだ。
水と油だと思っていた父と関だったが、今ではゴルフや旅行に一緒に行く仲になった。ちなみに関は、私の父の前でも主人を早川と呼ぶ。
「早川の物理はアインシュタインで終わっている。それは学問から逃げているということだ。アインシュタインを一ミリでも追い越すことが我々の使命なのだ」
酒に酔うと関は必ずそう言う、困ったことに私たちの子供の前でも言うのだ。でも主人はそんな関を一ミリも責めたりせずに笑っている。
「もう来ないでください」と私がエロかんに言ったたら、エロかんはこう返した「もう来ないでくれと言われても僕は行くよ。だって飛鳥ちゃんのお家じゃないと高い酒飲めないからさ。それに翔太と俊太を東大に入れるという役目が僕にはあるからね。だから心配しないで早川とエッチしていいんだよ」
エロかんはやっぱりエロかんだった。

