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千一夜
第10章 第二夜 パヴァーヌ ⑥
 主人の後ろから手を回して主人に抱き着いた。主人も振り返らずに私の体の手を回した。主人の見ていた小さなモニターの画面が私にも見えた。
「……あなたごめんなさい」
「謝ることなんかないさ。運命だよ」
「健太、愛してる」
「僕も飛鳥を愛している」
「お願いだから私を離さないで。健太が見えなくなったら私は死んでしまう」
 死ぬことより主人がいなくなることの方が私は怖い。
「離さないよ。飛鳥こそ俺にしっかりつかまっていろ。俺は絶対に飛鳥を離さない」
 主人と私が向き合う。そして私たちはキスをした。とてもとても長いキス。
「王子様、私と踊っていただけませんか」
「喜んで。お姫様、あなたと出会えたことを神に感謝します」
 主人が泣いている。初めて主人の涙を見た。
「神様は私たちを許してくれるかしら」
「許しを請うのはいけないよ」
 主人が私の背中を撫でながらそう言った。
「そうね、健太の言う通りだわ。私たちにその資格がないわよね」
「飛鳥、俺は幸せだ。世界一幸せな男だ」
「私は世界一幸せな女」
 音楽は鳴っていないのに、私と主人は抱き合ってダンスをした。
 それは誰かに教わったステップではなく、私と主人が作り上げ、そして生まれた動きだった。できることなら主人には燕尾服を着てほしい。私も白のイブニングドレスを纏いたかった。
 主人が泣いている。主人の潤んだ瞳の中の私も泣いていた。
「ダンスも悪くないな。日本に帰ったら真剣に習うことにするよ」
「私も。しばらく翔太と俊太に会えなくなるわね」
「心配はいらないさ。先輩がいる。先輩は世界一の家庭教師だ」
「でも。私たちエロかんに叱られるわね」
「間違いなく叱られる。それもたっぷりとな」
「私、エロかんが怒ったところ見たことないんだけど」
「俺もだ」
「怖い?」
「さぁ。俺は先輩から破門されるな」
「ごめんなさい」
「飛鳥のせいじゃない。これは俺のせいなんだ」
「健太、愛してる」
「飛鳥、俺も君を愛している」
 何度かハワイで夜に虹を見たことがある。綺麗、というよりそれは神秘的な空の囁きの名残ように思えた。残念ながら囁きは耳に届いてこない。おすらく虹は出ていないのだろう。
 私と主人はキスをした。子供たちに見られても構わない。モニターに映る青いコートを着た女に見られても構わない。

 第二夜 了
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