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千一夜
第13章 第三夜 春の雪 ③
「草加隼太、ずるい」
 草加は声の方を向いた。沖野が寝袋から上半身を起こして草加を見ていた。
「沖野さん、飲みます?」
「もちろん頂きます」
「どうぞ」
 草加はウイスキーのお湯割りが入ったシェラカップを沖野に渡した。
「ありがとう」
 沖野はシェラカップのウイスキーのお湯割りを口に含むと、口の中でウイスキーの香りを楽しんでからそれを喉に流した。
「沖野さん、お酒好きですか?」
「大好きです」
 口に含んで香りを楽しむなんて酒好きにしかできないだろう。いやいや今はそんな自分の感想なんてどうでもいい。また沖野の胸に草加の目が行ったのだ。見てはいけないと思っても、どうしても目がぽよんと膨らんだ沖野の胸に行ってしまう。どうしたらいいのだ、俺は盛りの付いた犬か、と草加は自嘲した。草加は自分の下心が沖野にばれないか心配だった。巨乳好きのエロ教師というレッテルだけは張られたくない。
「沖野さんは、どうしてこの山を選んだのですか?」
 草加は沖野にそう訊ねた。自分の心の中は沖野だけにはよまれたくない。
「山は本当に初心者なんですが、大昔に一度だけこの山に登ったことがあるんです。父と母と一緒でしたが、そのとき妖精に会ったんです。でも誰も信じてくれませんけど」
「妖精……この山で」
「そうです。この山で私妖精に会ったんです。草加さん、信じてくれます?」
「信じますよ」
 草加も妖精に会った経験がある。だから自分も妖精に会ったことがあると言いたかったが、何故かそれを沖野には話さなかった。
「草加さんはお酒好きですか?」
「好きです。だから山登りのときにポケット瓶を持っていくことがあります。俺の場合はウイスキーですけど。沖野さんは何が好きですか?」
「草加さんと同じです。ウイスキーが大好きです」
「それはよかった。ザックが重くなったけど持ってきたかいがありました」
「美味しかった。ありがとうございました」
「もう一杯飲みますか?」
「頂きたいですけど止めておきます」
「俺ならいいですよ。それじゃあもう一杯お湯割り作りますね」
「そのお湯割りは草加さんが飲んでください。私、休みます」
「わかりました。うるさくならないようにします」
 沖野に無理やり飲めとは言えない。
「ふふふ、お休みなさい」
 沖野が寝袋の中に潜り込んでいった。
「おやすみなさい」
 草加の前から沖野の大きな胸が消えた。
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