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千一夜
第13章 第三夜 春の雪 ③

「隼太は童貞?」
「違います!」
「何人?」
「それ経験人数のことですよね。黙秘します」
「黙秘?」
「はい、黙秘です」
「二年三組の生徒さんたちに」
「二人です!もう勘弁してください」
これは間違いなく脅しだ。こんなことが天国で許されていいのだろうか? 草加は激しい憤りを感じた……。
「少な」
「じゃあ沖野さんにお訊ねしますが、沖野さんの経験人数は?」
「黙秘」
「も……黙秘! それずるいですよね」
「全然ずるくないですよ。隼太は今自分の立場がわかっているのかな?」
「立場?」
「そう立場。二年三組の」
「わかりました!」
二年三組と言われる度に草加の脳裏に子供たちの顔が浮かぶ。これはやんわりとした新手の拷問なのだろうか?
「それじゃあ隼太は」
「あの、一つだけ沖野さんにお訊ねしたいことがあります」
草加は沖野の言葉を遮ってそう訊ねた。
「何?」
「沖野さんは彼氏とかいますか?」
「ふふふ」
「まさか結婚しているとか」
「ふふふ」
「どっちなんですか?」
「ふふふ」
「笑ってばかりじゃわかりません。ていうかそれくらいは教えてください」
「聞きたい?」
「めちゃめちゃ気になっています」
「どうして気になるの?」
「はっきり言っていいですか?」
「どうぞ」
「沖野さん、俺のタイプなんです。ストライクゾーンど真ん中」
「どういうところがど真ん中?」
「顔が小さくて、それで可愛くて、おっぱいが……」
「おっぱいが?」
「おっぱいがめちゃくちゃでかくて」
「隼太はおっぱい星人?」
「はい!」
しまったと草加は返事をした後に思った。またゆすりのネタを沖野に提供してしまった。
「つまり?」
「はぁ? つまりというと……」
「つまり?」
「つまり……つまり俺一目ぼれしました!俺、沖野さんが好きです!結婚を前提として付き合ってください」
「口説く文句がいちいち古いし、隼太は女相手だとスマートになり過ぎるんだよね。そこがだめ」
「だめ?」
「そう、だめ」
草加は思った。天国でも振られるということを。そしてまた思った。生きていても死んでからも自分は女に振られ続けるということを。そしてまたまた思った。ひょっとしたらここは天国ではなく地獄なのではないかということを。
生きているのか、それともここは天国なのか地獄なのか、草加はわからなくなっていた。
「違います!」
「何人?」
「それ経験人数のことですよね。黙秘します」
「黙秘?」
「はい、黙秘です」
「二年三組の生徒さんたちに」
「二人です!もう勘弁してください」
これは間違いなく脅しだ。こんなことが天国で許されていいのだろうか? 草加は激しい憤りを感じた……。
「少な」
「じゃあ沖野さんにお訊ねしますが、沖野さんの経験人数は?」
「黙秘」
「も……黙秘! それずるいですよね」
「全然ずるくないですよ。隼太は今自分の立場がわかっているのかな?」
「立場?」
「そう立場。二年三組の」
「わかりました!」
二年三組と言われる度に草加の脳裏に子供たちの顔が浮かぶ。これはやんわりとした新手の拷問なのだろうか?
「それじゃあ隼太は」
「あの、一つだけ沖野さんにお訊ねしたいことがあります」
草加は沖野の言葉を遮ってそう訊ねた。
「何?」
「沖野さんは彼氏とかいますか?」
「ふふふ」
「まさか結婚しているとか」
「ふふふ」
「どっちなんですか?」
「ふふふ」
「笑ってばかりじゃわかりません。ていうかそれくらいは教えてください」
「聞きたい?」
「めちゃめちゃ気になっています」
「どうして気になるの?」
「はっきり言っていいですか?」
「どうぞ」
「沖野さん、俺のタイプなんです。ストライクゾーンど真ん中」
「どういうところがど真ん中?」
「顔が小さくて、それで可愛くて、おっぱいが……」
「おっぱいが?」
「おっぱいがめちゃくちゃでかくて」
「隼太はおっぱい星人?」
「はい!」
しまったと草加は返事をした後に思った。またゆすりのネタを沖野に提供してしまった。
「つまり?」
「はぁ? つまりというと……」
「つまり?」
「つまり……つまり俺一目ぼれしました!俺、沖野さんが好きです!結婚を前提として付き合ってください」
「口説く文句がいちいち古いし、隼太は女相手だとスマートになり過ぎるんだよね。そこがだめ」
「だめ?」
「そう、だめ」
草加は思った。天国でも振られるということを。そしてまた思った。生きていても死んでからも自分は女に振られ続けるということを。そしてまたまた思った。ひょっとしたらここは天国ではなく地獄なのではないかということを。
生きているのか、それともここは天国なのか地獄なのか、草加はわからなくなっていた。

