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千一夜
第15章 第三夜 春の雪 ⑤

「えええ!」
草加は驚いた。人生で間違いなく一番の驚きだだった。
「何驚いてんの?」
「沖野さんですよね」
「良太、まだパパ寝ぼけてるみたい」
子供がまた草加の頬を叩こうとした。
「沖野さんですよね?」
草加には確信があった。小さな顔がとっても可愛くて、金髪ショートカットはあのとき? のままだ。胸は……まだそこまで確認する余裕が草加にはない(一番大切なことなのに)。
「結婚前はね」
子供からママと呼ばれている女は間違いなく沖野だ。結婚しているということは良太と呼ばれている子供は自分の子?
「俺と結婚してくれたんですか?」
「しましたけど。ねえ、それより早く起きてくれないと試合に間に合わないわよ。朝からあなたの冗談に付き合っている暇なんてないの。お弁当も作らないといけないし、今日は良太も連れてあなたのチームの応援に行くのよ。今日勝てば県大会に行けるんでしょ。そんな大事な試合に監督が遅れたらあなた笑いものになっちゃうわよ。ていうか教師辞めさせらるわ。それでいいの」
「よくないです」
「だったら早く起きてよ」
「承知しました」
「あなた、ひょっとして変な夢でも見たんじゃない?」
「見ました」
草加はそう言ったが状況をまだうまく飲み込めていない。
「それじゃああなたの夢の話、帰ったらたっぷり聞かせてもらうわ」
「包み隠さずに全部お話しします」
「ふふふ」
「何か?」
「取り調べを受けている犯罪者みたい、ふふふ」
「俺が犯罪者?」
「そういう言い方をしていたということ」
「なるほど」
「早く支度してね、本当に間に合わないわよ」
「はい!」
草加は、沖野……ではなく妻が作った朝食を食べ、妻が運転する車に子供と一緒に乗って試合会場に向かった。
草加は不安だった。どうやら自分は野球部の監督らしい。確かに草加は野球が大好きだ。だから野球のルールくらいは知っている。でもそこまで。草加が中学や高校で野球部に所属したことは一度もない。そんな自分が監督なんてできるはずがない。
聞けば今日は地区大会決勝戦。勝てば県大会に出られるらしい。そんな大切な試合を任されるとは。草加は逃げ出したくなった。できるはずがない。妻の前だけでなく、野球部員や保護者の前で大恥を晒すことになる。恥ならばまだ我慢すればいいが、勝てなかったら子供たちに申し訳ない。
試合会場に到着。いよいよ試合が始まる。
草加は驚いた。人生で間違いなく一番の驚きだだった。
「何驚いてんの?」
「沖野さんですよね」
「良太、まだパパ寝ぼけてるみたい」
子供がまた草加の頬を叩こうとした。
「沖野さんですよね?」
草加には確信があった。小さな顔がとっても可愛くて、金髪ショートカットはあのとき? のままだ。胸は……まだそこまで確認する余裕が草加にはない(一番大切なことなのに)。
「結婚前はね」
子供からママと呼ばれている女は間違いなく沖野だ。結婚しているということは良太と呼ばれている子供は自分の子?
「俺と結婚してくれたんですか?」
「しましたけど。ねえ、それより早く起きてくれないと試合に間に合わないわよ。朝からあなたの冗談に付き合っている暇なんてないの。お弁当も作らないといけないし、今日は良太も連れてあなたのチームの応援に行くのよ。今日勝てば県大会に行けるんでしょ。そんな大事な試合に監督が遅れたらあなた笑いものになっちゃうわよ。ていうか教師辞めさせらるわ。それでいいの」
「よくないです」
「だったら早く起きてよ」
「承知しました」
「あなた、ひょっとして変な夢でも見たんじゃない?」
「見ました」
草加はそう言ったが状況をまだうまく飲み込めていない。
「それじゃああなたの夢の話、帰ったらたっぷり聞かせてもらうわ」
「包み隠さずに全部お話しします」
「ふふふ」
「何か?」
「取り調べを受けている犯罪者みたい、ふふふ」
「俺が犯罪者?」
「そういう言い方をしていたということ」
「なるほど」
「早く支度してね、本当に間に合わないわよ」
「はい!」
草加は、沖野……ではなく妻が作った朝食を食べ、妻が運転する車に子供と一緒に乗って試合会場に向かった。
草加は不安だった。どうやら自分は野球部の監督らしい。確かに草加は野球が大好きだ。だから野球のルールくらいは知っている。でもそこまで。草加が中学や高校で野球部に所属したことは一度もない。そんな自分が監督なんてできるはずがない。
聞けば今日は地区大会決勝戦。勝てば県大会に出られるらしい。そんな大切な試合を任されるとは。草加は逃げ出したくなった。できるはずがない。妻の前だけでなく、野球部員や保護者の前で大恥を晒すことになる。恥ならばまだ我慢すればいいが、勝てなかったら子供たちに申し訳ない。
試合会場に到着。いよいよ試合が始まる。

