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千一夜
第16章 第三夜 春の雪 ⑥
「一つだけ訂正と俺に謝罪してほしい」
「謝罪?」
「そう、謝罪」
「どうして私がエロ教師に謝らなきゃならないの?」
「その言い方だ!良太までもが俺をエロ隼太と言っている。これどういうことだよ!」
「事実じゃん」
「たとえそれが事実だとしてもだ、事実だとしても……」
「親は子供に真実を教える義務があります」
「真実をオブラートで包むのも大人の義務だ!」
「うるさいエロ隼太!」
「すみません」
「寝るかトイレに行くかどっちかにして」
「……じゃあ、じゃあちょっとだけおっぱい見せて」
 草加がまた作戦を変更。
「何で私がエロ隼太におっぱい見せないといけないわけ?」
「男にはおかずというものが必要なんです。ご飯にはおかずがつきものです。おかず無しではご飯は食べられません。おかずを下さい!おっぱいを見せてください」
「……」
 草加の妻真利亜無言。
 十秒経過……、二十秒経過……、三十秒経過。静寂が続く。そしてとうとう一分経過。
「まだ寝てないよね。寝たふりしてるだけよね」
 草加は痺れを切らしてしまった。
「……」
「あっ、そうですか。寝たふりですか。いいですよ。どうぞ寝たふり続けてください。でもね、でも一つだけ答えてほしいんですよ。どうしても真利亜に訊ねたいことがあるんです。それはですね。愛についてです。それではお訊ねします。真利亜は俺のこと愛していますか?」
「……」
「そうでした、まずは俺から言わないとダメですよね。俺は真利亜を愛してます。真利亜のおっぱいも、それからでかいけつも、むっちりとしたそのボディも全部全部愛してます。良太を生んでくれてありがとう。もう二度と良太に真利亜のおっぱいは触らせません。だって真利亜のおっぱいは俺だけのものですから。さっき風俗に行くなんて言ってごめんなさい。冗談でも言ってはいけないことでした。ごめんなさい。行きませんよ。誰が風俗なんかに行くもんですか。信じてください。そんなときは真利亜が言うように自分で自分を慰めます。世間ではそれをオナニーと言います。でもね、でも……想像してみてください。トイレの中で行われる二十九の男の自慰行為。想像できますか? できませんよね、いやできないというより想像なんかしたくないんです。そうでしょ。だから……」
「あーうるさい。そして面倒くさい。超むかつく!」
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