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千一夜
第17章 第四夜 線状降水帯 ①
 伊藤は睡魔と必死に戦った、しかし一気にすとんと眠りの底に伊藤は落ちてしまった。
 尋常じゃない雨の中を車で走った疲れがどっと伊藤を襲った。美味しいお茶を飲んで気も緩んだのだろう。伊藤は碧の前で眠ってしまったのだ。
 深い深い眠りの中で伊藤は小さな光を見た。夢の中でも光はとても弱く、辺りの様子を伺うことができない。いっそのこと光なんて無くなってしまえばいいと思った。ぐっすりと眠りたい。小さな光なんて伊藤にとっては邪魔なものでしかないのだ。
 でも何かがおかしい。伊藤は眠りの中でそう思った。小さな光に照らされ映し出されている光景が碧の別荘の部屋の中と同じなのだ。
 夢の中の光景が別荘の部屋と同じだなんて、味気ないし何だか薄気味悪い。伊藤がそう思ったときだった。光の中に何かが見える。伊藤は夢の世界で目を凝らした。それは人の顔だった。
 どきりとしたが怖くはなかった。なぜならその顔は碧だったからだ。伊藤には碧が薄っすら笑っているように見えた。碧の顔だけが自分の方に近づいて来る。やはり碧は笑っていた。
 そして次の瞬間、伊藤は心臓が体から飛び出るほど驚いた。碧の上半身が見えたのだ。碧は何も身に着けていなかった。大きくて形の良い碧の乳房に伊藤は吸い込まれてしまった。
 夢の中の伊藤は息をすることを忘れている。しかし夢の中の伊藤の心臓はバクバクと音を立てた。伊藤はその音が碧に聞こえるのではないかと思った。
 少し大きめの乳輪に囲まれた碧の桃色の乳首。伊藤の目は碧の乳房から離れない。碧の乳房は、神が碧だけに与えた芸術品のようであった。
 伊藤の驚きはそれで終わらなかった。次に見えたのは碧のお腹、そして碧の陰部、碧の脚。碧は全裸で伊藤の前に表れたのだ。
 すべてが美しい。お腹から腰に掛けてのくびれ、割れ目を隠す陰毛。すらりと伸びた細い脚。体全体が非の打ち所がないように計算しつくされ作られている。
 夢の中の別荘の部屋はとても暗いのに、なぜか碧だけは色彩豊かに映し出されていた。
 伊藤はこれが夢なのか、それとも現実なのか迷った。現実の別荘の部屋と夢の中(伊藤は睡魔に手を引かれて眠りの中に落ちたのだ)の部屋は全く同じなのだ。
 現実ならば伊藤は目を瞑る(碧の亭主のために)。夢ならば……夢ならば目の前に現れた碧を遠慮なくいただく。夢の中で伊藤の男根が硬くなり始めた。
 
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