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千一夜
第19章 第四夜 線状降水帯 ③
 伊藤が川上と別れてからこの妙な現象が始まった。伊藤が女の中に発射する直前に川上はるかの顔が浮かぶのだ。あるときは正面に。そしてあるときには天井に。伊藤が一番どきりとしたのはホテルの鏡の中にはるかがいたことだ。
 はるかは伊藤と女の交尾を冷めた目で見ている。その目には生命が宿っていない。力も意志もないはるかの目。
 伊藤にとってそれはとても不気味だった。女と交わりやがて射精を迎えるときに現れるはるかの顔。ぞっとした。心臓が止まるかと思った。見るなと何度もはるかにサインを送った。でもはるかは伊藤の言うことをきいてくれない。
 伊藤は諦めた。そして伊藤ははるかに射精を見られることに慣れた。今では女の膣中に自分の子種を放つ姿をはるかに見せつけるようになった。
 暗い闇の中にぽかりと浮かぶはるかの顔。伊藤は碧のま×こを突きながらはるかにこう言った。
「はるか、お前はいい女だった。嘘なんかじゃない、お前は最高の女だ。でも僕は一人の女だけじゃダメなんだ、物足らないんだよ。わかってくれ、お前なら僕の気持ちがわかるよな」
 それは伊藤の本心だった。もちろん暗闇の中のはるかは伊藤には何も言わない。ただ命が宿らない目で伊藤と碧の交尾を見ているだけなのだ。
 伊藤は自分のために強引にはるかと別れた。そして伊藤は三十を前にしてテレビ局を退社して独立した。伊藤の制作会社に出資するスポンサーは一社二社だけではなかった。伊藤はその潤沢の資金を利用して地上波だけでなくネットの世界にも進出していった。奇跡は続く。伊藤がかかわる番組・作品はすべて成功した。成功は金と女を伊藤にもたらした。
 タワーマンションに一人で暮らして、趣味の車は一年に一度新車に乗り換えた。もちろん伊藤の部屋を訪れる女と助手席に座る女はいつも違った伊藤は業界で唯一負けを知らない男だった。
 しかし、成功を手に入れても伊藤の前からはるかの幻影は消えない。それも女の中に発射する前に現れる。はるかの幻なんて伊藤にとっては厄介者でしかないが、伊藤は今ではこれも運命だと思うようになっていた。いや、間違いなく運命だ。はるかから逃れる必要なんてない。ふと現れるはるかを自然と受け入れる。はるかを無理やり遠ざける必要はない。伊藤は自分がはるかから逃れることができないことがわかっていた。
 碧と交わっていても。
 
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