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第19章 第四夜　線状降水帯　③

　伊藤はそうやってバックスタイルで碧のま×こを突いて精液を放出した。そして例の眠気が伊藤に訪れた。伊藤はゆったりとした気分でそれを受け入れた。目を覚ませば碧が必ずいる。今度はどんなコスチュームで自分を迎えてくれるのだろうか。伊藤は碧のことを考えるだけで心がわくわくした。ところが……。
　眠りの中に落ちて伊藤はすぐに気づいた。何だか息苦しい。じっとりとした空気を吸い込むたびに胸が苦しくなる。吸い込む空気はたっぷりと水分を含んでいてものすごく重いということがわかる。湿度のせいなのだろう。どうにも我慢ならない。伊藤は必死に眠りの世界から抜け出そうと足掻いた。足掻けば足掻くほど眠りの世界は伊藤を逃がそうとはしなかった。伊藤は焦った。重い空気が肺の中に入って、スムーズに呼吸することができなくなっていった。誰かに首を絞められている感じだ。それに妙な匂いがする。生臭い匂い。魚の腐乱臭。もう限界だ。伊藤がそう思ったとき、伊藤の目が覚めた。
　助かったと伊藤は思った。そして伊藤は碧を探した。しかし碧はどこにもいない。どうしたのだろう？　そして伊藤はあることに気が付いた。目が覚めても部屋の中がじめじめしている。そしてあの生臭い匂いが部屋の中に充満していた。
「痛い！」
　伊藤が大きな声をあげた。右足の親指に痛みを感じたのだ。何か小動物に嚙まれたような感じだ。
「痛い！」
　今度は左足の小指に痛みを感じた。やはり得体の知れない小動物に噛まれた感じだ。まさか鼠じゃないだろうな、伊藤は足元に目をやった。ところが部屋の中が暗くて足元が確認できない。もう少し経てば目がこの暗闇になれてくる。そうなれば痛みの原因を探すこともできるかもしれない。
　伊藤は今自分の状況を確かめることにした。自分は今あの別荘にあった長椅子に浅く腰掛けている。両腕はだらりと自分の体の前に下げている。それ以上の情報がつかめない。それは周りがあまりにも暗いからだ。何かを探ろうにもこれが限界だ。とにかく目がこの闇に慣れてくれるしかない。じたばたしたところでどうにもならない。待つしかない、そう思ったとき、またあの痛みが伊藤を襲った。
　痛みは両肩からだった。二か所同時に痛みを感じた。小動物に噛まれたあの痛みだ。目を凝らして伊藤は自分の右肩を見た。
　伊藤は心臓が止まるかと思った。