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千一夜
第20章 第四夜 線状降水帯 ④
 伊藤はこのまま車を走らせて静岡の方に向かおうと思った。静岡のどこかで海の幸を食べるためのドライブ。悪くない、が今一つ自分の案に乗り切れない。こんなときは別荘に戻って考えをもう一度組み立てる。伊藤は別荘に向かった。
 車を敷地に入れる。伊藤が別荘に玄関に立って、鍵をポケットから出そうとしたときだった。マナーモードを解除したスマホが着信音を鳴らした。スマホの画面を見ると非通知となっていた。
「ちっ」
 伊藤は舌打ちした。こんなことだったらマナーモードを解除すべきじゃなかった。後悔してももう遅い。電話に出ないという手もあるが、この手の電話は間違いなくしつこい。
「はい、伊藤です」
 不機嫌さをたっぷり込めて伊藤は電話に出た。
「おやすみのところ誠に申し訳ございません。松原です」
「松原さん……」
「はい、松原です」
「……」
 伊藤はようやく松原という男を思い出した。
「ああ、松原さんか」
 何の用? と続けたかったが何とか堪えた。
「社長、紹介したい女の子がおりまして」
「女?」
「社長、今どうやって断ろうかとお考えですよね」
「松原さんは僕の心が読めるんだね」
「わかりますよ、社長のことならなんでもわかります」
「あまり気分のいいものではないね」
「失礼。でも社長、必ず気に入ってもらえるはずです。高倉希、数か月前まで高校生でした。中学から高校までずっとジュニアアイドルとして活動していた子です」
「ジュニアアイドル?」
「演技はできません。水着姿をカメラマンに撮ってもらう。それが彼女たちの仕事です。高倉はその世界ではちょっと有名だったんですよ」
「その子が芝居をしたいとか?」
「ご冗談を。いつものように高倉を助けていただきたいんです」
「僕はいつも松原さんを助けているような気がするんだけど」
「ははは。社長のおっしゃる通り私も助けていただいております。社長には感謝しかございません」
「申し訳ない、今はそう言う気分じゃないだ」
「社長、高倉希で検索してみてください。すぐ彼女にヒットします。彼女の水着姿も見ることができますよ。一時間後にまた社長にご連絡いたします。そのとき社長のご返事をくださいませ」
「期待しないでほしい」
「もちろんです。それでは一時間後」
 断るつもりだが、伊藤には一つだけ気になるワードがあった。数か月前まで高校生。伊藤の脳裏にゆかりの顔が浮かんだ。
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