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千一夜
第21章 第四夜 線状降水帯 ⑤

部屋の露天風呂に浸かりながら伊藤と燈が互いの体を弄り合っている。ベッドではついさっき伊藤が燈の中に自分の子種を放出した。終わっても、露天風呂に二人で入れば、伊藤は燈の体を、燈は伊藤の体を求めた。
部屋の露天風呂から朝の海が見える。だが、光る海は一度も二人の目には入らなかった。
風呂から上がると、二人は宿の朝食を摂った。朝でも変わらぬ燈の食欲に、伊藤は驚いた。
「美味しいか?」
「こんなに美味しい朝食初めてです。先生、ありがとうございます」
「昼は寿司食べに伊東まで行こう」
「本当ですか」
「ああ」
「私、お寿司が大好きですなんです」
「……」
たくさん食べろと、伊藤は燈を見ながら思った。今日の夜もまたお前の体をいただく。だからもっともっと食べろ、伊藤は心の中でそう念じた。
チェックアウトを済ませて二人は宿を出た。
「私、こんな高級ホテル初めて泊まりました。お部屋も豪華で綺麗だったし、お料理も全部美味しかったです。先生、ありがとうございました」
「どういたしまして」
伊藤と燈は車に乗った。
伊藤は車の中では音楽は聴かない。伊藤が耳を澄まして聴いているのはアストンマーティンのⅤ12が奏でるエンジン音だ。アクセルを踏み込んだときに唸る12気筒の叫び。気品に包まれた空間に響き渡る気高い音こそ、伊藤が聴きたい音楽なのだ。
伊藤の会社の社員が伊藤のこう訊ねた。
「世の中、すべての車がEVになったら社長はどうしますか?」
伊藤はこう答えた。
「そんな世の中になったら、僕はバスと地下鉄に乗り、電車で旅をするよ。モーター音を聞きながらステアを握ったら僕は酔ってしまうからね。人生は一度きりだ。だから僕は今のうちにエンジンの音が聞こえる車に乗るんだ。環境を破壊するバカヤローと罵られてもね」
伊藤が操るアストンマーティンは、海の見える道をどんな車よりもとても優雅に走った。
ときおり燈の手が伊藤の股間に伸びてきて、ズボンの上から伊藤の肉棒を摩った。伊藤が燈を見ると、燈の悪戯っぽい目が伊藤を待っていた。
女と車と音楽、そして酒。それらは伊藤の人生に欠かせない大事なものなのだ。今伊藤はアストンマーティンに燈を乗せ、二人で12気筒エンジンの音を聴いている。
部屋の露天風呂から朝の海が見える。だが、光る海は一度も二人の目には入らなかった。
風呂から上がると、二人は宿の朝食を摂った。朝でも変わらぬ燈の食欲に、伊藤は驚いた。
「美味しいか?」
「こんなに美味しい朝食初めてです。先生、ありがとうございます」
「昼は寿司食べに伊東まで行こう」
「本当ですか」
「ああ」
「私、お寿司が大好きですなんです」
「……」
たくさん食べろと、伊藤は燈を見ながら思った。今日の夜もまたお前の体をいただく。だからもっともっと食べろ、伊藤は心の中でそう念じた。
チェックアウトを済ませて二人は宿を出た。
「私、こんな高級ホテル初めて泊まりました。お部屋も豪華で綺麗だったし、お料理も全部美味しかったです。先生、ありがとうございました」
「どういたしまして」
伊藤と燈は車に乗った。
伊藤は車の中では音楽は聴かない。伊藤が耳を澄まして聴いているのはアストンマーティンのⅤ12が奏でるエンジン音だ。アクセルを踏み込んだときに唸る12気筒の叫び。気品に包まれた空間に響き渡る気高い音こそ、伊藤が聴きたい音楽なのだ。
伊藤の会社の社員が伊藤のこう訊ねた。
「世の中、すべての車がEVになったら社長はどうしますか?」
伊藤はこう答えた。
「そんな世の中になったら、僕はバスと地下鉄に乗り、電車で旅をするよ。モーター音を聞きながらステアを握ったら僕は酔ってしまうからね。人生は一度きりだ。だから僕は今のうちにエンジンの音が聞こえる車に乗るんだ。環境を破壊するバカヤローと罵られてもね」
伊藤が操るアストンマーティンは、海の見える道をどんな車よりもとても優雅に走った。
ときおり燈の手が伊藤の股間に伸びてきて、ズボンの上から伊藤の肉棒を摩った。伊藤が燈を見ると、燈の悪戯っぽい目が伊藤を待っていた。
女と車と音楽、そして酒。それらは伊藤の人生に欠かせない大事なものなのだ。今伊藤はアストンマーティンに燈を乗せ、二人で12気筒エンジンの音を聴いている。

