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千一夜
第25章 第四夜 線状降水帯 ⑨

「高校時代、優等生だった橘もビッチな女だったんだな。がっかりだよ」
「何ががっかりよ、伊藤君の意地悪」
「でもさ、僕も橘の前の旦那と変わらない。一人の女に尽くすことができないクズ野郎だ」
「ふふふ。そう伊藤君はクズ野郎よ。最低最悪のクズ」
「それじゃあ橘に訊く。僕と橘の前の旦那、どこが違うんだ? セックスが上手だとかペニスの大きさ以外でさ」
「……」
裕子は伊藤の上から伊東を見下ろしていた。
「教えてくれ」
「伊藤君は私と寝たベッドの中で他のおんなの名前は言わないわ」
「橘の旦那は言ったのか?」
「寝言でね」
「寝言か……僕も注意しないとな。でも寝言はコントロールできない」
「そこよ。寝言はコントロールできないわ。だから本当の姿、ていうか隠している姿が現れるの」
「隠してる姿か」
「伊藤君は正直よ。僕はいろいろな女と寝てますって隠さず表現しているもの」
「僕が?」
「そう」
「直さないとまずいな」
「ふふふ。伊藤君はそういところ直すことができない人よ」
「そうなのか……」
「最低最悪のクズ野郎でもやっぱり伊藤君は王様よ」
「一体どうしたんだ?」
「ねぇ、一つ欲しいものがあったわ」
「何だよ。何でも言えよ」
「ベンテイガ マリナー。色は黒」
「おい」
伊藤は今ベントレーに乗っている。正確に言うとそれは伊藤の車ではなく、希のために伊藤の両親が伊藤に要求した車だった。生まれてくる赤ちゃんのためにスポーツカーではなく頑丈で大人数を乗せることができるSUV。
伊藤の両親に車の知識なんてほとんどない。つまりそれを強請ったのは伊藤の家の跡取りを身ごもった希だ。もちろん伊藤はそれを知っている。
アドバンテージを握っているのは希だ。自分のわがままは何でも通る。今伊藤の家は希を中心に、いや希のお腹の子を中心に回っているのだ。
「ダメ?」
「ダメじゃないさ、でもベントレーだけは勘弁してくれ。ポルシェでもマセラッティでも橘にプレゼントする。でも」
「わかってるわ。少しだけ王様になっている伊藤君を虐めたかっただけよ。それに私、車なんかいらないわ。都内を走るだけならハイヤーが一番よ」
「そんなんでよかったら橘に会社の車用意するよ」
「ありがとう」
「どういたしまして。でももう僕を虐めないでくれ」
「どうしようかな」
裕子はそう言って伊藤の肉棒を掴んだ。
「何ががっかりよ、伊藤君の意地悪」
「でもさ、僕も橘の前の旦那と変わらない。一人の女に尽くすことができないクズ野郎だ」
「ふふふ。そう伊藤君はクズ野郎よ。最低最悪のクズ」
「それじゃあ橘に訊く。僕と橘の前の旦那、どこが違うんだ? セックスが上手だとかペニスの大きさ以外でさ」
「……」
裕子は伊藤の上から伊東を見下ろしていた。
「教えてくれ」
「伊藤君は私と寝たベッドの中で他のおんなの名前は言わないわ」
「橘の旦那は言ったのか?」
「寝言でね」
「寝言か……僕も注意しないとな。でも寝言はコントロールできない」
「そこよ。寝言はコントロールできないわ。だから本当の姿、ていうか隠している姿が現れるの」
「隠してる姿か」
「伊藤君は正直よ。僕はいろいろな女と寝てますって隠さず表現しているもの」
「僕が?」
「そう」
「直さないとまずいな」
「ふふふ。伊藤君はそういところ直すことができない人よ」
「そうなのか……」
「最低最悪のクズ野郎でもやっぱり伊藤君は王様よ」
「一体どうしたんだ?」
「ねぇ、一つ欲しいものがあったわ」
「何だよ。何でも言えよ」
「ベンテイガ マリナー。色は黒」
「おい」
伊藤は今ベントレーに乗っている。正確に言うとそれは伊藤の車ではなく、希のために伊藤の両親が伊藤に要求した車だった。生まれてくる赤ちゃんのためにスポーツカーではなく頑丈で大人数を乗せることができるSUV。
伊藤の両親に車の知識なんてほとんどない。つまりそれを強請ったのは伊藤の家の跡取りを身ごもった希だ。もちろん伊藤はそれを知っている。
アドバンテージを握っているのは希だ。自分のわがままは何でも通る。今伊藤の家は希を中心に、いや希のお腹の子を中心に回っているのだ。
「ダメ?」
「ダメじゃないさ、でもベントレーだけは勘弁してくれ。ポルシェでもマセラッティでも橘にプレゼントする。でも」
「わかってるわ。少しだけ王様になっている伊藤君を虐めたかっただけよ。それに私、車なんかいらないわ。都内を走るだけならハイヤーが一番よ」
「そんなんでよかったら橘に会社の車用意するよ」
「ありがとう」
「どういたしまして。でももう僕を虐めないでくれ」
「どうしようかな」
裕子はそう言って伊藤の肉棒を掴んだ。

