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千一夜
第29章 第五夜 線状降水帯Ⅱ  ②
 そういう焦りのような中でも、希には一つだけ伊藤を惹きつける武器があった。それは人には言えない経験。かつて希自身がジュニアアイドルであったという過去の事実。面積の少ないビキニを着ていたときの中学生時代の自分。
 ベッドに入って伊藤に身を寄せる。伊藤の乳首を弄りながら伊藤の耳元でこう話し出す。小さな声を更に小さくして、伊藤に自分の秘密をこっそり教えてやるのだ。
「中学二年のとき、撮影が終わった後監督とキスをしたの」
 そう話した後、希のもう一つの手は伊藤の肉棒に伸びる。
 ユアにはない自分の魅力。それは若さだ。中学生だったときの自分を伊藤に教える。撮影の現場で何があったのか、伊藤は知りたくてたまらないはずだ。あのときの秘密が今ようやく役に立つ。希は伊藤を繋ぎとめておくための餌を伊藤に見せた。
 確かに希は伊藤に体験談を話すとき、何パーセントか話は盛った。しかし誇張した話の源は真実だ。
 伊藤は映像のプロだ。天才と言われている人間だ。まして自分は芝居の素人。自分の話がどこまでが本当で、どこから嘘なのかも伊藤は見破っているかもしれない。それでも構わないと希は思った。
 伊藤が外で他の女と寝ても、それは仕方のないことだと希は思っている。でも伊藤の家のベッドを自分以外の女にすんなり渡すことはできない。
「こんなおばさんのビデオなんてつまんないわ」
 希はわざとユアをおばさんと呼んだ。そして中学生時代に出演したDVDのパッケージを伊藤に見せる。そしてこう言うのだ。
「私とおばさん、どっちが好き?」
 伊藤は中学生時代の希をちらりと見る。
「……」
「ねぇ、どっちが好きなの?」
「……」
 伊藤はまだ答えない。けれども希には伊藤を引き寄せる魔法の言葉がある。
「これを撮った監督ものすごくエッチだったの、ききたい?」
「……」
 伊藤は無言でも、伊藤の目がもう一度DVDの表紙に写る自分に向かったことが希にはわかった。伊藤は自分の黒い歴史に興味があるのだ。闇は深ければ深いほど伊藤の心をくすぐることができる。あと一押し。そこで希はまた声を小さくしてこう言うのだ。
「パパは私の秘密ききたくないの?」
 子供を産んだ後、希は伊藤をパパと呼ぶ。伊藤をパパと呼ぶのも希の作戦だ。自分にはあなたの子供がいるのだ。そんな私をあなたは簡単に捨てられない、そう希は伊藤にサインを送る。
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