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千一夜
第29章 第五夜 線状降水帯Ⅱ  ②
「汚いところは綺麗にしないといけないよね?」
「……」
 泣いている希から言葉は出ない。
「綺麗にしてあげるからね」
「……」
 希の両脚の太ももを男が掴んだ。男の顔が、自分の陰部に近づいてくるのが希に見えた。希はそこでまた目を閉じた。何をされるのかは大体わかる。それを見ていることは希にはできなかった。
「汚いところを舐めてあげるよ」
「……」
 予想通りの男の行動。でもまだ希は自分の陰部に男の舌を感じていない。ふんふん、そんな男の声が希の耳に届いた。
「希ちゃん、今僕が何をしているかわかるかな?」
「……」
 希は目を閉じたまま黙っていた。
「わかるよね。今僕は希ちゃんの汚いおま×この匂いを嗅いでいるんだ。希ちゃんのおしっこって臭いんだね」
「……」
希から羞恥心がなくなっていた。恥ずかしい、そんな気持ちは希の中のどこを探してもない。
「汚くて臭い希ちゃんのおま×こを僕が舐めて綺麗にするんだから感謝してよね」
「……」
 間抜けな男だと希は思った。だが、それを口にすることはできない。どこで男が豹変するかわからない。沈黙だけが自分の身を守る。希は目を瞑り、そして口を閉ざした。
 男の両手が希の太ももから陰部の方に向かった。男は希の小さなビラビラを広げた。そしてそこに自分の鼻を近づけた。クンクン、男はわざと希に聞こえるようにそう声を出した。
「いい匂いがする。希ちゃんのおま×この匂いとってもいい匂いだ」
「……」 
 希に自分の秘部の匂いなんてわかるはずがない。自分の体から溢れてくる淫欲にまみれた匂いが、男を惹きつけるフェロモンになるということを希は後で知る。
 男は汚いところを綺麗にすると言った。やがて男の舌が自分のおま×こに伸びてくるだろう。まだ味わったことのない不快な感覚が、自分の体に伝わるのだろう。逃げることはできない。希は覚悟した。
 男の舌の先が希の一番敏感な部分を刺激した。
 伊藤が希にこう訊ねた。
「一番敏感な部分てどこだ?」
「ふふふ、パパ聞きたい?」
「だからどこだ?」
「クリ」
「気持ちよかったか?」
 伊藤はうつ伏せにしている希のま×こに手を潜りこませてそう訊ねた。
「くすぐったかった……でも」
「でも、でも何だ?」
「だんだん」
「だんだん……だんだんどうなった?」
「パパ、怒らない?」
「ああ」
「だんだん気持ちよくなったの」
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