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千一夜
第31章 第五夜 線状降水帯Ⅱ  ④
「伊藤さん、嫉妬の反対語を知っていますか?」
「難しい質問だな。……申し訳ない、思いつかない」
「ですよね。嫉妬の反対語、答えはなかなか出てきません。仏教の世界では嫉妬の反対を“喜び”と言うことがあるそうなんです」
「喜び?」
「はい、喜びです」
「教えてくれてどうもありがとう」
 伊藤はユアに感謝した。
「どういたしまして。マーケットであった闇の話、本当なのかそれともでたらめなのかは伊藤さんが判断してください。その闇の底に閉じ込められている話、伊藤さん興味がありますよね?」
「ああ」
「単体で売っていたセクシー女優も、飽きられてしまうと単体での仕事が減ります。というより単体での仕事がなくなります。どんなにいい女でいい体をしていても、そのときは必ずやって来る。次から次へと出てくるセクシー女優に男たちの目は移っていきます。単体から企画女優に、それから、言いにくいですけど底辺にどんどん落ちていく。そして仕事だけでなくギャラも減る。そこまでやる女優もいれば、先を見越してそうなる前に引退をする女優もいます。セクシー女優にもプライドはありますからね」
「だから君は先を見越して引退した?」
「はい」
「君は勝ち組か?」
「自信を持って言えます。私は勝ち組です」
「……」
 映画やテレビの世界も同じだと伊藤は思った。アイドルはいつまでもアイドルでいられない。たとえ十代で売れても、三十になれば自分を売っていたときの役を演じることができなくなる。それをうまく見極める役者もいれば、売れていたときの自分に縋り付いて消えていく役者も少なくない。芸の世界は厳しいものなのだ。
「その子は、清純派のセクシー女優としてデビューしました」
「君は、その子のことを知っているのか?」
「ふふふ、はい。実は今から私が話すことは、その子から聞いたお話です」
「だったら事実だよな?」
「わかりません。確かにその子は人を騙すために嘘をつくようなことはしませんが、だからと言って私に話したことがすべて真実だとは言い切れません」
「なるほど」
「デビュー作は、アダルトビデオで処女を喪失するというものだったそうです。伊藤さん、幻滅しないでくださいね、アダルトビデオで処女喪失なんて百%嘘ですから」
「心に留めておく」
「その子は処女として売り出すことができるくらいに純潔をまとっていたんです」
「純潔をまとう、か」
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