この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
千一夜
第31章 第五夜 線状降水帯Ⅱ  ④
「それで」と訊ねたことを伊藤は後悔した。高級ホテルのベッドルームの様子が伊藤の脳裏に浮かんだ。セクシー女優ではあるが、彼女は自ら十六人の男に輪姦されることを望んだわけではない。意に反することに対して彼女は命がけで抗議した。だが彼女の死に物狂いの訴えは、彼女を買った男によって軽くあしらわれた。
 自業自得と言われれば確かにそうかもしれない。が、伊藤は同じ日本人として十六人の男たちよって辱められたセクシー女優を不憫に思った。
「ベッドに上がって来た男たちに服と下着を剥ぎ取られたとき、彼女は諦めではなく覚悟をしたそうです」
「覚悟?」
「そう、覚悟です」
「どういう覚悟だったんだ?」
「彼女はこう言ってました。絶対にこの男たちの顔を覚えなない。十六人の男たちから輪姦される事実から自分は未来永劫逃れることはできない。それでも男たちの顔は死んでも頭の中に残さない。十六人の男たちの顔は永遠にのっぺらぼうのままにしておく。そういう覚悟だったそうです」
「……」
 伊藤には想像がついた。その想像は伊藤から言葉を奪った。
「どんな風に輪姦されたのかは彼女は言いませんでした。でも、そのときの自分は肉便器とか性奴隷以下だったと言ってました」
「肉便器、性奴隷以下の扱いを受けたということか……」
「日本のアダルトビデオの現場でも、輪姦のシーンでは、セクシー男優の一人一人が女を犯す獣に変身します。輪姦ですからセクシー女優は撮影中男優さんたちから強引に扱われることだってないわけではありません。でもそれは脚本があって演出があるからセクシー女優はそれを受け入れるんです。それに日本のセクシー男優さんたちはプロです。プロフェッショナルは仕事を全うするために、撮影監督の指示通りにセクシー女優と交わります。同時にセクシー女優に気を配ることも忘れません。本当の男優は激しくセクシー女優を犯していてもその二つを両立させることができます。だからセクシー女優は安心して仕事ができるんです」
「……」
 伊藤はユアの言いたいことが理解できた。プロは相手のことを考える。
「伊藤さん、私さっき言いましたよね。彼女はいくつかのことを覚えていると」
「その一つが匂い」
「そうです。十六人の男たちの顔はのっぺらぼうのままですが、彼女の記憶から消えないことがまだいくつかあるんです。それを話しますね」
「ああ」
/354ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ