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千一夜
第31章 第五夜 線状降水帯Ⅱ ④

「どうして買収できたんですか?」
ユアは伊藤にそう訊ねた。伊藤の会社は買収協議からおりたはずだ。それなのになぜ買収できたのか、ユアはそう思ったのだ。
「今度は〇湾企業が土壇場で買収協議からおりたんだ」
「おりた? どうして?」
「どうしておりたのかはわからない。欲しくなくなったのか、それとも単に僕の会社の買収を邪魔しようとしたのか、そのへんのところは全くわからない。ただ、その〇湾企業は監視の対象になった」
「監視?」
「そう、監視。僕の会社の株を持っているのか? もし持っていたらどれくらい保有しているのか? そう言うところを含めて動きを監視している」
「大変なんですね」
「僕が監視しているわけじゃない。今回の買収についても、ひょっとしたら僕の会社の誰かがリークしたかもしれない。身内にスパイがいるかもしれない。うんざりだよ。だからいつも思うんだ。会社を大きくするべきではなかったとね。僕は映像屋なんだ。芝居を作りたいだけなんだ」
「可哀そう」
ユアはそう言うと伊藤の肉棒を優しく撫でた。
「でも、今回の買収では随分と儲かった」
「儲かった?」
「買収金額が安くなったんだ。会社を買う時、その会社の価値をいろいろな方法ではじき出す。そして買収にあたっての妥当な金額が算出される。それからその妥当な金額に誠意をのせる」
「誠意?」
「目に見えない誠意ではなくしっかり目に見える誠意。目に見える誠意とはお金のことだ」
「そんなに簡単に誠意を見せていいんですか?」
「私たちはあなた方の敵ではない。私たちはあなた方の味方なんです、というメッセージだと思えばいい。買収なんてあからさまにやることではない。誰にも怪しまれずにひっそりと行わなければいけない。協議が長引けば誰かが勘ずく。そうなると買収がやりづらくなる。誠意をのせることで相手を黙らせるんだ」
「ああ、お金持って苦労が絶えないんですね」
「金持? 僕が? 僕はプライベートジェットを持っていないし、別荘の隣に料理人たちを抱えてはいない」
「ふふふ」
「何が可笑しいんだ?」
「謙遜もほどほどにしないと嫌味になります。総資産は壱千億以上、別荘は軽井沢と葉山に、料理人たちは伊藤さんの料理旅館六合にいるじゃないですか? プライベートジェットはなくても今お乗りになっている車はマクラーレン。伊藤さんは超が三つくらいつくお金持です」
「ふん」
ユアは伊藤にそう訊ねた。伊藤の会社は買収協議からおりたはずだ。それなのになぜ買収できたのか、ユアはそう思ったのだ。
「今度は〇湾企業が土壇場で買収協議からおりたんだ」
「おりた? どうして?」
「どうしておりたのかはわからない。欲しくなくなったのか、それとも単に僕の会社の買収を邪魔しようとしたのか、そのへんのところは全くわからない。ただ、その〇湾企業は監視の対象になった」
「監視?」
「そう、監視。僕の会社の株を持っているのか? もし持っていたらどれくらい保有しているのか? そう言うところを含めて動きを監視している」
「大変なんですね」
「僕が監視しているわけじゃない。今回の買収についても、ひょっとしたら僕の会社の誰かがリークしたかもしれない。身内にスパイがいるかもしれない。うんざりだよ。だからいつも思うんだ。会社を大きくするべきではなかったとね。僕は映像屋なんだ。芝居を作りたいだけなんだ」
「可哀そう」
ユアはそう言うと伊藤の肉棒を優しく撫でた。
「でも、今回の買収では随分と儲かった」
「儲かった?」
「買収金額が安くなったんだ。会社を買う時、その会社の価値をいろいろな方法ではじき出す。そして買収にあたっての妥当な金額が算出される。それからその妥当な金額に誠意をのせる」
「誠意?」
「目に見えない誠意ではなくしっかり目に見える誠意。目に見える誠意とはお金のことだ」
「そんなに簡単に誠意を見せていいんですか?」
「私たちはあなた方の敵ではない。私たちはあなた方の味方なんです、というメッセージだと思えばいい。買収なんてあからさまにやることではない。誰にも怪しまれずにひっそりと行わなければいけない。協議が長引けば誰かが勘ずく。そうなると買収がやりづらくなる。誠意をのせることで相手を黙らせるんだ」
「ああ、お金持って苦労が絶えないんですね」
「金持? 僕が? 僕はプライベートジェットを持っていないし、別荘の隣に料理人たちを抱えてはいない」
「ふふふ」
「何が可笑しいんだ?」
「謙遜もほどほどにしないと嫌味になります。総資産は壱千億以上、別荘は軽井沢と葉山に、料理人たちは伊藤さんの料理旅館六合にいるじゃないですか? プライベートジェットはなくても今お乗りになっている車はマクラーレン。伊藤さんは超が三つくらいつくお金持です」
「ふん」

