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千一夜
第34章 第六夜 線状降水帯Ⅲ ①
「……」
 オーナーグループに何故断られたか、それは伊藤にもわからない。
「シュンは野球の話をするときだけはキッズだな」
「僕は永遠の野球少年だ」
「それ自分で言うことか?」
「ははは」
 二人の笑い声がラウンジに響いた。貸し切りにしているので周りを気にする必要はない。
「仕事とは正反対だな。まぁシュンの会社を仕切っているのは裕子だから、おっぱいの大きい裕子は合理的に仕事を進めていく。でも野球少年シュンの現代野球に対する考えが古臭い。金があるなら手っ取り早くロスで青いユニフォームを着ているような選手を買えばいいじゃないか? そうすればいちいち世界を回ることも無くなるし、選手を育てることなんかしなくていい。それでチームが強くなるんだ。それならデンバーのファンだって納得するだろ?」
「真っ平御免だ」
「シュン、そんなんだからオーナーグループに断られたんだ。あいつらにとって野球は所詮ビジネスなんだよ。あいつらに必要なのはシュンの金だ。野球はビジネス、そういう風にとらえろよ、シュン」
「いやだ。野球は野球だ」
「あーやめだやめだ。野球の話はもう終わりだ。シュンのそういう熱い心をできればセインツに注いでほしいね」
「ふん」
「ところでだ。あっちの方はどうなんだ?」
 アルバートは急に話題を変えた。
「あっちって何のことだ?」
「女だよ女」
「どうもこうもない」
「今シュンのスイートルームに女がいようがいまいが俺にはどうでもいいことだ。人に説教できるほど俺は聖人君子じゃない。でも少しは裕子のことと自分の子供のことを考えろ。裕子と自分の子供は泣かせるな」
「……」
「確かにシュンは男盛りだから、他の女の尻を追っかけるのはわかる。俺も男だ、女なんて何人いても邪魔にならないからな。しかし、ほどほどにしておけ。でないとシュン、会社を追い出されるぞ」
「追い出してほしんだが」
「冗談はやめとけ。俺は真剣に言っているんだ」
「わかったよ」
「いるのか?」
「何の話だ?」
「とぼけるなよ。今シュンの部屋に女がいるのか訊ねているんだ」
「いないよ」
「ふん、お前は俺と同じだな。嘘が下手だ」
「……」
 見抜かれた。こういうときは黙っているに限る。あれこれしゃべるのは得策ではない。伊藤はナッツを口に放り込んでそう思った。そして部屋にいる女のことを考えた。
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