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千一夜
第34章 第六夜 線状降水帯Ⅲ ①

伊藤がエグゼクティブ・スイートのドアを開けると、ショートヘアーをシルバーグレーに染めた女が「お帰りなさい」と言って伊藤を迎えた。
女の名前は香坂紗耶香。身長百六十四㎝の紗耶香は、ファッションを学ぶために専門学校に通っている十九の学生だ。
紗耶香を紹介したのはあの松原だ。だから十九の香坂紗耶香は間違いなく十九の香坂紗耶香であって、偽名を使ったり歳を誤魔化したりはしていない。
仕事が増え、そのために自由に使うことができる時間が無くなると、伊藤が自ら女を漁ることが難しくなってきた。そういう伊藤の事情を知っているのか、松原は実にタイミングよく伊藤に女を紹介する。そしてなぜか松原が紹介する女は必ず伊藤の心を震わせる。
Kpopファンである紗耶香の恋人は同じ年の韓国人だそうだ。伊藤が「どうして金が必要なのか」と紗耶香に訊ねると、紗耶香はこう答えた「今の彼と将来結婚するため」と。
紗耶香の個人的な事情に伊藤は興味などない。遊ぶことができる女がそばにいればそれでいい。だから伊藤は契約した紗耶香を今回の旅に連れてきた。
紗耶香がなぜ伊藤の心を惹きつけたのか? それは紗耶香がどこにでもいるような普通の女だからだ。美人ではないし、めちゃくちゃ可愛いというわけでもない(だからと言ってブスではない)。巨乳でもなければスタイルだって極々普通の女だ。でも今伊藤が欲しいのはそういう普通の女なのだ。
伊藤は紗耶香に「酒を作っておけ」と言ってバスルームに向かった。シャワーを浴びてホテルのバスローブを羽織ると、伊藤はベッドルームに向かった。
ベッドでは黒のおそろいのブラジャーとショーツを穿いた紗耶香が伊藤を待っていた。ナイトテーブルにはバーボンの入ったグラスが置かれている。
紗耶香によると、男の経験は伊藤が二人目で、水商売の経験はなく、だから酒の作り方も紗耶香は伊藤から教わった。
伊藤が紗耶香が作ったバーボンソーダを一気にあおると、ベッドに横たわり紗耶香を引き寄せた。ブラジャーの上から紗耶香の胸を揉もうとしたとき、伊藤の携帯が着信音を鳴らした。時差のことなど気にしないでこの時間に電話をかけてくるのは二人だけ。一人は希、そしてもう一人は橘裕子。二人に共通していることは、電話の際必ず子供の声を伊藤に聞かせることだ。
スマホの画面には裕子の名前があった。
女の名前は香坂紗耶香。身長百六十四㎝の紗耶香は、ファッションを学ぶために専門学校に通っている十九の学生だ。
紗耶香を紹介したのはあの松原だ。だから十九の香坂紗耶香は間違いなく十九の香坂紗耶香であって、偽名を使ったり歳を誤魔化したりはしていない。
仕事が増え、そのために自由に使うことができる時間が無くなると、伊藤が自ら女を漁ることが難しくなってきた。そういう伊藤の事情を知っているのか、松原は実にタイミングよく伊藤に女を紹介する。そしてなぜか松原が紹介する女は必ず伊藤の心を震わせる。
Kpopファンである紗耶香の恋人は同じ年の韓国人だそうだ。伊藤が「どうして金が必要なのか」と紗耶香に訊ねると、紗耶香はこう答えた「今の彼と将来結婚するため」と。
紗耶香の個人的な事情に伊藤は興味などない。遊ぶことができる女がそばにいればそれでいい。だから伊藤は契約した紗耶香を今回の旅に連れてきた。
紗耶香がなぜ伊藤の心を惹きつけたのか? それは紗耶香がどこにでもいるような普通の女だからだ。美人ではないし、めちゃくちゃ可愛いというわけでもない(だからと言ってブスではない)。巨乳でもなければスタイルだって極々普通の女だ。でも今伊藤が欲しいのはそういう普通の女なのだ。
伊藤は紗耶香に「酒を作っておけ」と言ってバスルームに向かった。シャワーを浴びてホテルのバスローブを羽織ると、伊藤はベッドルームに向かった。
ベッドでは黒のおそろいのブラジャーとショーツを穿いた紗耶香が伊藤を待っていた。ナイトテーブルにはバーボンの入ったグラスが置かれている。
紗耶香によると、男の経験は伊藤が二人目で、水商売の経験はなく、だから酒の作り方も紗耶香は伊藤から教わった。
伊藤が紗耶香が作ったバーボンソーダを一気にあおると、ベッドに横たわり紗耶香を引き寄せた。ブラジャーの上から紗耶香の胸を揉もうとしたとき、伊藤の携帯が着信音を鳴らした。時差のことなど気にしないでこの時間に電話をかけてくるのは二人だけ。一人は希、そしてもう一人は橘裕子。二人に共通していることは、電話の際必ず子供の声を伊藤に聞かせることだ。
スマホの画面には裕子の名前があった。

