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千一夜
第34章 第六夜 線状降水帯Ⅲ ①
「紗耶香は今一人?」
「うん」
「じゃあ、気持ちいいことして」
「始めるね、ユンのおちんちん今どうなってる?」
「まだ普通」
 紗耶香と紗耶香の彼氏は、電話を通して自分自身を慰める行為を始めた。いや、それは伊藤の命令だ。言葉で相手を気持ちよくさせる。最終的には相手をいかせる。そしてそのやり取りを伊藤は紗耶香の体を貪りなが窺うのだ。
「ユンは私に何をしてほしい?」
「ちんこを舐めて欲しい」
「じゃあ舐めてあげるね。ユン、今ユンの手はどこに行ってる?」
「ちんこ。紗耶香の声を聞きながらちんこを弄ってる。紗耶香は?」
「聞きたい?」
「聞きたいよ」
「お・ま……あっ……」
 二人の会話を聴いていた伊藤が紗耶香の乳首をまた舐め始めたのだ。このゲームが始まれば、少しくらい声が漏れたところで紗耶香の彼氏は気付かないはずだ。
「どうしたの?」
「気持ちよくなったから」
「紗耶香はエッチなんだね」
「ユンもね」
「紗耶香のおっぱい舐めたいよ」
「舐めていいよ。あっあっ」
 伊藤が紗耶香の乳首をしゃぶる。
「紗耶香、気持ちいいの?」
「うん、ユンが舐めてくれるから。ものずごく……いい。気持ちいいよ。ユン、おちんちん今どうなってるの?」
「ちんこものすごく硬いよ。紗耶香のあそこに入れたい」
「あそこって?」
「おま〇こ。紗耶香のおま〇こは今濡れてる?」
「……うん。ぬ……ぬれてるよ。気持ちいい……いきそう」
 伊藤の腰の動きが速くなったのだ。
「紗耶香、僕も気持ちいい。あれが出そう」
「あれって?」
「精子。僕の精子を紗耶香のおま〇こに入れたい」
「私のおま〇こにユンの精子たくさん頂戴」
 紗耶香の彼氏の声が心地よいBGMとなって伊藤の耳に届けられている。紗耶香の彼氏であるユンは自分の肉棒を紗耶香の声に合わせてしごいているに違いない。そして伊藤はそれを想像してユンの彼女紗耶香を犯している。今紗耶香の体に触れているのは紗耶香の彼氏ではなく伊藤だ。アドバンテージは自分にある。
 伊藤は電話の向こうでマスターベーションをしている紗耶香の彼氏に向かって「お前の女はいい体をしている。ま〇こはまだキツキツで締りがいいぞ」と叫んでやりたくなった。
 誰かの女を寝取るという背徳の行為。禁断の交わり、決して許されない男と女の関係。だからこそ、寝取りは蜜の味がするのだ。その魅惑の甘い香りに男と女が群がる。
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