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千一夜
第34章 第六夜 線状降水帯Ⅲ ①
「だからおじさんのおちんちんの方が大きいよ」
 紗耶香の声のボリュームも上がった。
「何? 紗耶香、何言ってんの?」 
 どうやら紗耶香の声は電話の向こうの紗耶香の彼氏に届いたようだ。
「何でもないよ。想像しているの」
「何を想像しているの?」
「私が、悪い人たちに犯されそうになったところをユンが助けてくれるの。私が誰かに犯されたらユンは嫌でしょ?」
「嫌だ!紗耶香は僕のものだ!」
 紗耶香の彼氏の大声が伊藤に聞こえた。確かに紗耶香の彼氏は嫉妬の塊のような男だ。まぁ、愛している女が他の男に犯されて悦ぶ男なんてこの世にはいないだろうが(そういう性癖を持った男がいないとも限らないが)。
 紗耶香の彼氏の絶叫に近い声は、伊藤を強く刺激した。伊藤は激しく、そして猛々しく紗耶香のま〇こを突き始めた。声の様子から、間もなく紗耶香の彼氏は溜まっていた精液を放出するに違いない。ならば紗耶香の彼氏の射精を手伝ってやりたい。伊藤の中の悪魔が動き出す。
 伊藤は紗耶香のま〇こを突きながら漏れてしまう「ハァハァ」という声を隠さなかった。いや、紗耶香のま〇こを突いていきそうになっている自分の存在を紗耶香の彼氏に教えてやろうとした。「お前の女をおいしくいただいているぜ。ごちそうさま」と紗耶香の彼氏を蔑んでやりたかったのだ。
 日本にいるときもこういうゲームは何度かした、だがここまで伊藤が大胆になれたのは、自分と紗耶香が日本から遠く離れたアトランタにいるからだ。紗耶香の彼氏が手を伸ばしたところで、ユンは紗耶香を引き戻すことはできない。簡単に近づくことさえできないのだ。
「気持ちいい」
 紗耶香は力の向けたような声でそう言った。
 伊藤が紗耶香の表情を窺う。紗耶香はトロンとした目をして現実と快楽の境界線を彷徨っているようだった。
「紗耶香、僕も気持ちいいよ」
「……」
 紗耶香は彼氏に答えなかった。紗耶香は口を半開きにして、伊藤にされるままになっていた。伊藤は紗耶香のま〇こを突き、紗耶香の乳首を激しくしゃぶった。「いく」とも「いった」とも紗耶香は言わない。
「紗耶香が変なやつらに襲われたら僕が守ってあげるよ」
「……」
 紗耶香の耳にはユンの声はもう届かない。
「お前いったのか? つまんねぇ女だな。もう少し我慢しろよ。クソビッチが」
 伊藤はそう言って、紗耶香のスマホの通話を終了させた。
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