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千一夜
第35章 第六夜 線状降水帯Ⅲ ②
 ギャップが大きいほど男は燃える。佐藤和子というどこにでもいるような名前の女の職業は教師。今和子が担当して学生は中学生や高校生ではなく大学生。この教師がどれだけエロいのか、それは和子の夫と伊藤しか知らない。
 教師は学問を追求し学生を指導する。だから教師はセックスをしない。いやセックスはするだろうが、恐らくそれは淡白なものに違いない。つまり教師はつまらないエッチしかしない。教師は真面目で性欲なんてものに支配されることはない(世間の一般的な見方)、男と女の厭らしい交わりから遠いところにいるのが教師なのだ。
「それ好きなの?」
 肉棒をしゃぶり続ける和子に向かって伊藤はそう言った。伊藤はベッドの上で大の字になって和子の奉仕を受けていた。
「逆に訊きたいわ。こんなに美味しいものを嫌いな女っているの?」
 和子は伊藤の肉棒が少しでも柔らかくならないように、口から伊藤の肉棒を出すと、両手でそれをギュっギュッと絞るように握った。そして和子はまた伊藤の肉棒を口に入れた。和子は伊藤の肉棒を口に入れると、容赦なく舌で伊藤の肉棒を舐め回した。
 ベッドに入ると和子は伊藤にこう訊ねた。
「あのお子ちゃまはお上手なの?」
「……」
 伊藤は薄く笑った。その笑いを見た和子は満足した。紗耶香と和子の口技を比べることなんかできない。レベルが違う。プロ野球とリトルリーグ。ボクシングで言えば世界チャンピオンとプロテストを三回目で合格したボクサー。それくらいの差がある。だから比較なんて何の意味もない。でも女はそれが気になるものなのだ。だから男に訊ねる。どっちが上手いかと。
 五分、十分、和子はずっと伊藤の肉棒をしゃぶっていた。あと少し経てば、和子は伊藤の上に跨って伊藤の硬い肉棒を自分の穴に入れる。
 伊藤は両手の上に頭を乗せて、伊藤の上で自ら腰を振る和子を眺める。実はこの眺めが最近の伊藤の好物になっている。
 水泳で体を鍛えていると言った和子の体は無駄な肉が全くない。ほどよく膨らんだ乳房は、残念ながら年相応に地球の中心に向かってだらりと垂れているが、それがまた伊藤の性欲を強く刺激する。
 もちろん伊藤は年上の女の経験はあるが、自分よりも十上の女は初めてだ。伊藤にとって和子は熟女ではなく、初老に差し掛かった女であった。
 肌の張りも艶も失いつつある老女の肉体。この体から放散される老いの匂い。
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