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千一夜
第37章 第七夜 訪問者
「長谷川さん、ゴルフお上手なんですね」
 マルガリータが入ったカクテルグラスを手にして咲子がそう言った。咲子がグラスに口を付ける。
「とんでもありません。みなさんに迷惑かけないように必死になっているだけです」
「市役所の統括課長ってアルコールが入ると平気で嘘をつくんですね」
「私が嘘を?」
「十五番のティーショットわざと右に曲げたでしょ?」
「……」
「次の十六番ではパットをわざと外した」
「……」
 私はグレンフィディックの味がわからなくなった。
「とにかく市長と私のパパに勝ちを譲ろうとしているのがわかったわ。そういうゴルフ楽しい?」
「誤解です。私はそんなことをした覚えはありません。たとえ相手が市長でも私は真剣にプレーします」
「ふん、嘘つき」
「……」
 咲子にそう言われても私には返す言葉などない。上司を相手に本気でゴルフをする馬鹿はいない(少なくとも私にはできない)。
「ふふふ、だから長谷川さんはゴルフが上手いと言ったの。ずっと市長や私のパパや私のことを考えながらゴルフをしてるんですもの。そんな風にしながらスコアはまぁまぁにまとめる。そういうのゴルフが上手い人じゃないとできないわ」
「ゴルフの話はこれくらいにしていただけませんか、私は」
「このお店悪くないでしょ?」
 咲子は私の話を遮ってそう言った。何だか話を遮られることが多くなったような気がする。
 ゴルフを終えて、私と遠山咲子はパズルというバーに向かった。店内に客は私と咲子だけ。咲子がこの店を貸し切ったのだ。そして私と咲子はパズルのカウンターではなく、ボックス席に向かい合って座っている。
「咲子さん、咲子さんとお呼びして構いませんか?」
「お呼びしてだなんて、そういう言い方止めてくれる。私は遠山咲子。長谷川さんの好きなように呼んで。それとも遠山機械工業が怖い?」
「怖いです。遠山機械工業はわが街唯一のプライム市場に上場している企業です。そしてあなたは遠山機械工業創業者のお嬢様です。役所の一職員が簡単にあなたとお話することなど絶対に許されません」
「ふふふ」
「可笑しいですか?」
「笑ったりしてごめんなさい。でも長谷川さんてパパが言った通りの人みたいね」
「どういうことでしょうか?」
「怒らないと約束してほしいの」
「……」
「これを見て」
 咲子はバーキンからA4サイズの封筒を取り出した。
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