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千一夜
第38章 第七夜 訪問者 隠し事について
 考えようとすると私の頭の中に靄がかかる。私は何かにコントロールされているのだろうか。振り返ったり思い出そうとすることが億劫だ。それより京子のリクエストに応えなければいけない。
 トリコロールで働き始めて二年が経った頃、私は店のマスターからナポリタンとピラフの作り方を教えてもらった。断っておくが教えてもらっただけで、私が作ったものが客に提供されることはなかった。
 ナポリタンはパスタの茹で時間からソースの作り方。冷や飯をバターを使って炒めるトリコロールのピラフ。調理のコツそして美味しく作るためのタイミング。マスターはそれらを惜しげもなく私に教示した。私が独身でここまでやってこられたのも、トリコロールのマスターのお陰だと言っても過言ではないだろう。トリコロールの味が忘れられない私は、月に何度かナポリタンかピラフのどちらかを作る。
 茹で上がったパスタをソースに絡めながらフライパンで炒めているとき、妙に家の中が静かなことに私は気づいた。探検をしている京子の気配を感じない。
 私は出来上がったナポリタンを皿に移し終わってから書斎に向かった。書斎のドアを開ける。探検中の京子はいなかった。ということは寝室……。
 寝室のドアを開ける。私は驚いた。京子が私のベッドの中で寝ていたのだ。
 私はベッドで寝ている京子に近づいて寝顔を覗き込んだ。
「ナポリタン出来たぞ」と言葉をかけたかったのだが、私はその言葉を飲み込んで京子の顔を見ていた。
 妹だと思っていた京子がこんなに綺麗になった。目の前にいる京子の裸を想像してマスターベーションをした自分が恥ずかしくなった。自慰行為の対象が、あの頃妹だと思っていた女なのだ。もちろん私と京子の間には血のつながりはない。だから私は京子を一人の女として見ても一向に構わないのだ。でも何かが引っかかる。
「亮ちゃんの匂いがする」
 目を瞑ったまま京子はそう言った。
「おっさんの匂いだよ。ナポリタン出来たぞ。リビングで食べよう」
 私はキッチンに行き、ナポリタンとサラダ、そして冷えた麦茶が入ったグラスをトレイにのせてリビングに向かった。
 リビングのテーブルにそれらを並べていると、京子がやってきた。私は京子を見た。心臓が一瞬止まりそうになった。違和感の正体がはっきり見えたのだ。
 京子はこの前会った時と同じ格好をしていたのだ。ジーンズに白のTシャツ。
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