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千一夜
第38章 第七夜 訪問者 隠し事について
「訊きたいのは女性の服装についてだ」
「服装?」
「ああ」
「どうしたのよ長谷川。女の服を気にしている長谷川なんて何だかおかしいわよ」
「興味というか、少し疑問があったんだ。訊いていいか?」
「どうぞ」
「誰かと会うときとか、誰かの家にいくとき、女性は前に会ったときと同じ服を着て行くかことがあるのか?」
「同じ服?」
「そうだ、同じ服」
「それって遠山のお嬢様のこと?」
「いいや、彼女のことじゃない」
「若い子のこと?」
「いや、四十くらいの女性だ」
「やっぱり遠山のお嬢様のことじゃない」
「彼女じゃないよ」
 ゴルフウエアも着替えた後の私服も、咲子のファッションセンスは抜群だった。
「だったらあり得ないわね。女ってそういうところものすごく気にするものよ。大好きな人に会うのに、前に着た服をわざわざ選ぶ必要なんてないじゃない。余程、その服を気に入っているか、好きだから同じ服を何着か持っていることがあるかもしれない。でも四十の女なら多分そんなことしないわ」
「……」
 私の脳裏にジーンズと白いTシャツ姿の京子が浮かんだ。
「どうしたのよ?」
「もう一ついいか?」
「いいわよ、どうぞ」
「人に会いに行くとき、あるいは人の家を訪ねるとき、女性はバックとか持つよな?」
「当然よ」
「持って行かない女っているのか?」
「だったら長谷川に訊くけどさ、手ぶらで歩いている四十女を見たことがある?」
「……」
 私は首を横に振った。
「スーパーに買い物に行くおばあちゃんですらバックくらい持っているわよ。男は財布やハンカチをズボンのポケットなんかに入れることができるけど、女はそうはいかないの。それに女は男より持ち物が多いわよ。大きい小さいはあるかもしれないけど、女にはバックが必要なのよ」
「なるほど」
 私の家にやってきた京子は、バックを持っていなかった。その京子の姿が心の中でずっと引っかかっていたのだ。
「それじゃあ私も一つ訊ねていい?」
「何だ?」
「遠山のお嬢様はどんなバックをお持ちなの?」
「エルメス、バーキン」
「はぁ、何だか空しくなっちゃうわ。一生懸命市民のために働いても、エルメスのお店に近づくことすらできないんですもの。はぁ」
「何ため息なんかついているんだ」
「長谷川、金持ちになっても変らないでよ」
「安心しろ。金持ちになんかならないさ。だから変わらない」
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