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千一夜
第38章 第七夜 訪問者 隠し事について
 むしゃぶりつくとはこういうことなのだろう。京子に飛びついた私は、京子の乳首を口に含んで吸った。子供のように? いや違う。私は雄の欲望を剝き出しにして吸って吸って吸いまくったのだ。
 オナニー真っ最中の男子中学生に、止めなさいと言っても、止めようにも手が止まらない。私の行為は正にそれと一緒だった。
「亮ちゃんダメ。強すぎるからダメだって。ちょっと待ってよ」
 京子は何度も私をそう言って諫めた。私の耳に京子の言葉が入ってきたのは数十秒後だった(私が感じた時間で、もしかしたら数分だったかもしれない)。もっと京子の乳首を吸っていたかった。だが京子の次の言葉で目が覚めた。
「こんなに乱暴にするなら止める、私家に帰る。放して!」
 京子の叫び。
「悪かった。ごめん。京子ちゃん許してくれ」
 京子の乳首には未練が残る。だが私の中に潜んでいる獣が、私にこう語りかけるのだ。
“このままでは獲物に逃げられるぞ。女の言うことに従え。そうしなければお前はこの女の中に入ることはできない”と。
 私は心に痛みを感じた。私は京子を京子としてではなく、思うままに体を貪ることができる便利な女として扱っていたのだ。恥ずかしくなった。だから私はもう一度京子に謝った。
「本当に悪かった」
「亮ちゃん」
「何?」
「私知ってるんだ」
「何を?」
「亮ちゃん初めてでしょ?」
「……」
 心臓の鼓動が一瞬止まった。
「亮ちゃん、そんなの恥ずかしことじゃないから」
「恥ずかしいことだよ。この歳になるまで……」
「亮ちゃん、もう言わなくていいから。でも私は嬉しいわ」
「京子ちゃんが嬉しい? どういう意味?」
「だって私が亮ちゃんの初めての女になるんでしょ?」
「……」
 ああと言うべきなのだが、私は何も言えなかった。
「亮ちゃん、仰向けになって」
「どうして?」
「いいから、仰向けになるの。わかった?」
「……」
 私は京子の言う通りにベッドの上で仰向けになった。
「亮ちゃん、いきそうでしょ?」
「……ああ」
「だから亮ちゃん、一度あれを出しておこうか?」
「あれを出す?」
「私が手でしごいてあげるわ」
「手で?」
「そう、私の手で亮ちゃんをいかせてあげる。その間亮ちゃんは私のおっぱい見てなさい」
「……」
 このベッドの上で主導権を握るのは私ではなく京子だ。私は京子の命令に従った。

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