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千一夜
第39章 第七夜 訪問者 隠し事について ②
 私は京子の視線の先に目をやった。
 女の経験がない四十八の私でも、中学生くらいから自慰行為を始めた。だから自分の体から出てティッシュペーパーの中に収まる精液の量は知っている。
 だが、今自分の下腹部を覆っている精液の量を見て私は愕然とした。それはカップに入ったヨーグルト二個分くらいの精液の量だったのだ。こんなに出した経験がない。これだけの精液が自分の体の中にあったことが信じられない。
 京子こう言った。
「私妊娠するかもしれない」と。
 妊娠が精液の量とどう関係しているのかなんて私にはわからない。が、確かにこれだけの量を見たら、それを望まない女は恐怖を感じるだろう。
 ふと思った。京子は私の子供を妊娠するのは嫌なのだろうかと。
 京子がティッシ使って、腹の上にまき散らした私の精液を綺麗に拭き取っている。自分の精液が、こんな風に誰かによって処理されることなんて初めての経験だ。私はそれを四十八になって初めて味わっている。
 精液を含んだティッシが、京子によって寝室のゴミ箱に捨てられた。自分の精液の行き先がゴミ箱だなんて、何だか空しくなった。
「亮ちゃん」
「何?」
「ひょっとしてずっと溜めていたの?」
「……」
 京子は私が出した精液の量のことを言っている。それがわかっても私は黙っていた。
「すっごく濃くて、めちゃめちゃ量が多いんだもん。私びっくりしちゃった」
「京子ちゃんに会ったときのために大事に保管していたんだ」
 私はそんな戯言を言う自分に驚いた。その余裕はいつ生まれたのだろうか。
「亮ちゃん」
「京子ちゃんのおま〇こが見たい」
 私は京子の言葉を遮った。京子に対する遠慮はどこかに消えた。
「いいわよ」
 京子がベッドの上で体育座りをする。そして膝頭を掴んで両脚を徐々に開いていった。私の目は京子のおま〇こに釘付けになった。
 面積の少ない薄い陰毛が京子の割れ目の上の方に生えていた。京子が脚を開いても京子の割れ目はまだ口を閉じたままだった。それがわかったのか、京子は上半身を後ろの方にのけ反らせて両手をベッドについた。そして私の欲望を満たすために? 両脚をさらに開いた。
 その瞬間、京子の小さな両翼が見えた。変色のない小さなビラビラは何かに濡れたようにピカピカ光っていた。
 私は唾をごくりと飲んだ。もしかしたらその音は京子にも届いていたかもしれない。
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