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千一夜
第40章 第七夜 訪問者 影

カヌーではなくカヤック。シングルブレードパドルではなくダブルブレードパドル。咲子はどうしてもカヤックを一人で操縦したいらしい。
私と咲子はカヤックのツアーガイドがいる事務所に向かった。そこにはすでに竹内がいて、持っていた紙袋からマリンシューズを出し、それを咲子と私に渡した。
竹内が用意していたものはそれだけではなく、カヤックを操作するのに相応しい服も準備していた。竹内が咲子の服のサイズを知っているのは当たり前なのかもしれないが、私に用意されていた服も私の体にピタリと合った。
遠山家の私に対する身体検査が怖くなった。私に関する色々なこと、まさか服のサイズまで知られているとは。
だったら私は、私の身の回りのあれこれについて調査している遠山家の審査官に言いたい。咲子には私なんかよりもっといい男がいる。今からでも遅くはない。どこかにいるその男を探せ。その男はきっと咲子を幸せにする。
事務所の中でカヤックについてインストアクターから簡単なレクチャーを受けた。主にカヤックの操り方についてであったが、最後にインストラクターはこう言った。
「このカヤックは簡単に横転などしません。でもこれだけは守ってください。基本に忠実なパドリングをすること、そして決して慌てないこと。無理に体を動かさない。屈斜路湖と大自然を大いに楽しんでください」
私と咲子と、そして竹内がインズトラクターから渡されたライフジャケットを身に着けた。そう、竹内も参加するのだ。
竹内は湖に出る前、私の耳元でこう言った。
「もし熊が出たら、私はお嬢様をお守りします。長谷川さんはご自分でご自分の命を守ってください」
熊が出没することはほぼないとインストラクターは言っていたが、最近は住宅地にも熊は堂々と現れる。現れただけでなくその熊は人を襲う。そしてここは北海道の屈斜路湖。大自然を味方にできるのは人間ではなく熊だ。100%熊は出ないとは言い切れない。
「わかりました」
私は竹内にそう答えた。
ユニフォームの似合う野球選手は上手いと聞いたことがある。咲子は元々スタイルがいい女だが、ライフジャケットを着ても様になっていた。ゴルフの腕前がシングルの女はカヤックの操作も上手いだろう。
そして私の予想は見事に当たった。
私と咲子はカヤックのツアーガイドがいる事務所に向かった。そこにはすでに竹内がいて、持っていた紙袋からマリンシューズを出し、それを咲子と私に渡した。
竹内が用意していたものはそれだけではなく、カヤックを操作するのに相応しい服も準備していた。竹内が咲子の服のサイズを知っているのは当たり前なのかもしれないが、私に用意されていた服も私の体にピタリと合った。
遠山家の私に対する身体検査が怖くなった。私に関する色々なこと、まさか服のサイズまで知られているとは。
だったら私は、私の身の回りのあれこれについて調査している遠山家の審査官に言いたい。咲子には私なんかよりもっといい男がいる。今からでも遅くはない。どこかにいるその男を探せ。その男はきっと咲子を幸せにする。
事務所の中でカヤックについてインストアクターから簡単なレクチャーを受けた。主にカヤックの操り方についてであったが、最後にインストラクターはこう言った。
「このカヤックは簡単に横転などしません。でもこれだけは守ってください。基本に忠実なパドリングをすること、そして決して慌てないこと。無理に体を動かさない。屈斜路湖と大自然を大いに楽しんでください」
私と咲子と、そして竹内がインズトラクターから渡されたライフジャケットを身に着けた。そう、竹内も参加するのだ。
竹内は湖に出る前、私の耳元でこう言った。
「もし熊が出たら、私はお嬢様をお守りします。長谷川さんはご自分でご自分の命を守ってください」
熊が出没することはほぼないとインストラクターは言っていたが、最近は住宅地にも熊は堂々と現れる。現れただけでなくその熊は人を襲う。そしてここは北海道の屈斜路湖。大自然を味方にできるのは人間ではなく熊だ。100%熊は出ないとは言い切れない。
「わかりました」
私は竹内にそう答えた。
ユニフォームの似合う野球選手は上手いと聞いたことがある。咲子は元々スタイルがいい女だが、ライフジャケットを着ても様になっていた。ゴルフの腕前がシングルの女はカヤックの操作も上手いだろう。
そして私の予想は見事に当たった。

