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千一夜
第40章 第七夜 訪問者 影
「長谷川さんの学生時代のことを教えてもらえますか?」
「学生時代というと大学生のときということですか?」
「はい」
 遠山家が調べた私の身体検査の中身は咲子も知っているはずだ。
「私の大学時代の話なんてつまらない話ばかりです。そんな話でもいいんですか?」
「是非」
「一言でいえば勉強とアルバイトだけの大学生活でした」
「……」
 咲子は黙って私の次の話を待っている。
「友達も少なかった。アパートと大学、そしてバイト先の道順しか知らなかったと言ったら咲子さんは信じますか?」
「ふふふ」
 咲子が笑った、何だか私はほっとした。
「一つだけ自慢できることがあります」
「何ですか?」
「勉強もアルバイトも手を抜いたことは一度もありません。勉強は誰にも負けたくなかった。アルバイトだって頂いてたお給料以上の仕事を目指していました」
「成績良かったんですよね?」
 私の大学時代の成績は遠山家の全員が知っているだろう。
「オールAを目指したんですが、いくつか取りこぼしてしまいました」
「そんなに成績が良かったのにどうして市役所なんかに?」
「咲子さん、市役所なんかにという言い方は職員に失礼です」
「ごめんなさい」
 咲子が謝った。ある意味咲子は遠山家の人間らしくない。
「一つは故郷に帰りたかったこと。もう一つは誰かを蹴落とさなければならないような仕事をしたくなかったこと。そして」
「そして……」
「公務員は安定してますから」
「ふふふ。ひょっとして三つめが長谷川さんの本音?」
「ばれました?」
「ふふふ」
 咲子が笑い、私も笑った。
「咲子さんの学生時代は?」
「真逆です」
「真逆……どういうことですか?」
「六本木のマンションから大学に通って、勉強もしなかったしアルバイトもしなかった」
 遠山家の人間は働かなくていい。だから真逆なのか。
「ゴルフは大学のときに始めたんですか?」
「当時、付き合っていた彼氏に教えてもらったんです」
「……」
「ごめんなさい、元カレのことなんか言っちゃって」
 申し訳なさそうに咲子はそう言った。
「かまいません」
 家柄がよくて美人でスタイルのいい女を世間の男がほっておくわけはない。
 と言うことは、そのときの咲子の彼氏は、大学時代の咲子の体を知っているということになる。
 運のいいやつだと、私は心の中で見たことのない咲子の元カレに言った。
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