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千一夜
第41章 第七夜 訪問者 真実?

私はその湖を知らなかった。
天空の湖。ある人は星の棲む湖だと言う。北海道で一番高いところにある湖。その湖の名前は然別湖。
湖なんてどれも同じだと思う人もいるだろう。だが、屈斜路湖と然別湖は全く違うと私は思った。どっちがいいとかそういう問題ではない。そもそも屈斜路湖と然別湖を比べることなどできない(私には)。
おそらく知名度は屈斜路湖には及ばないのだろうと思っていたが、とんでもなかった。なんでも有名なアニメ映画に出てくる湖のシーンが然別湖に似ているとのことで、それを目当てにここに来る観光客は後を絶たないのだそうだ。
屈斜路湖を出発して途中ゆっくり昼食をとっても、然別湖まではそんなに時間がかからなかった。ホテルのチェックインにもまだ時間がある。私と咲子は映画のワンシーンに登場した場所に行った。湖底線路が見えるところ。
なるほどと私は心の中で唸った。湖の中に線路が続いている。この線路の先はどこなのだろうか? この線路の上を汽車は走ったのだろうか? (実際は遊覧船の陸揚げ用の線路なのだが)想像は膨らむ。そう言えば宇宙を走る鉄道のアニメがあった。ならば湖の中を汽車が走っても悪くはないだろう。想像は自由だ。想像は無限だ。
にわかアニメファン(私には漫画やアニメを見る習慣がない)になって湖底線路を見学した。宿泊先のホテルに向かう。途中、カヌーなどのアトラクションをやっている店があったので私は咲子に訊ねた。
「あれで湖に出てみる?」
「……」
咲子は笑って首を横に振った。私は咲子の選択を支持する。カヤックのせいで私は体のあちこちに痛みを感じている。カヤックで遊ぶより、ホテルの部屋に入って咲子と二人になりたい。
チェックインを済ますと、咲子は竹内を呼んだ。
「今日は温泉に浸かってゆっくり休んで。運転疲れたでしょ」
「いいえとんでもありません」
「竹内さん、咲子さんが言うように休んでください。竹内さんのお陰で咲子さんも私も旅を楽しむことができているんです。竹内さんに休んでもらわないと咲子さんも私も心配でなりません」
「そうよ、ゆっくり休んでね」
「ありがとうございます」
竹内はそう言って頭を下げた。
部屋に入る前に私と咲子は湖の見えるホテルのレストランでコーヒーを飲んだ。
湖を見ながら私は咲子を窺った。咲子もコーヒーを口にしながら私を窺っていた。
天空の湖。ある人は星の棲む湖だと言う。北海道で一番高いところにある湖。その湖の名前は然別湖。
湖なんてどれも同じだと思う人もいるだろう。だが、屈斜路湖と然別湖は全く違うと私は思った。どっちがいいとかそういう問題ではない。そもそも屈斜路湖と然別湖を比べることなどできない(私には)。
おそらく知名度は屈斜路湖には及ばないのだろうと思っていたが、とんでもなかった。なんでも有名なアニメ映画に出てくる湖のシーンが然別湖に似ているとのことで、それを目当てにここに来る観光客は後を絶たないのだそうだ。
屈斜路湖を出発して途中ゆっくり昼食をとっても、然別湖まではそんなに時間がかからなかった。ホテルのチェックインにもまだ時間がある。私と咲子は映画のワンシーンに登場した場所に行った。湖底線路が見えるところ。
なるほどと私は心の中で唸った。湖の中に線路が続いている。この線路の先はどこなのだろうか? この線路の上を汽車は走ったのだろうか? (実際は遊覧船の陸揚げ用の線路なのだが)想像は膨らむ。そう言えば宇宙を走る鉄道のアニメがあった。ならば湖の中を汽車が走っても悪くはないだろう。想像は自由だ。想像は無限だ。
にわかアニメファン(私には漫画やアニメを見る習慣がない)になって湖底線路を見学した。宿泊先のホテルに向かう。途中、カヌーなどのアトラクションをやっている店があったので私は咲子に訊ねた。
「あれで湖に出てみる?」
「……」
咲子は笑って首を横に振った。私は咲子の選択を支持する。カヤックのせいで私は体のあちこちに痛みを感じている。カヤックで遊ぶより、ホテルの部屋に入って咲子と二人になりたい。
チェックインを済ますと、咲子は竹内を呼んだ。
「今日は温泉に浸かってゆっくり休んで。運転疲れたでしょ」
「いいえとんでもありません」
「竹内さん、咲子さんが言うように休んでください。竹内さんのお陰で咲子さんも私も旅を楽しむことができているんです。竹内さんに休んでもらわないと咲子さんも私も心配でなりません」
「そうよ、ゆっくり休んでね」
「ありがとうございます」
竹内はそう言って頭を下げた。
部屋に入る前に私と咲子は湖の見えるホテルのレストランでコーヒーを飲んだ。
湖を見ながら私は咲子を窺った。咲子もコーヒーを口にしながら私を窺っていた。

