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千一夜
第41章 第七夜 訪問者 真実?
「いいお風呂だったわ。長谷川さんもどう?」
「そうだね」
 湯上りの女の匂いがした。
「朝の湖って素敵ね」
 そう言って咲子は窓際の椅子に座った。
「非日常の風景だ。咲子さんが言うように然別湖は美しい」
 セックスのときは咲子と呼び捨てにすることができても、こうして二人で椅子に座り、湖を見ているときは私の中のブレーキが作動する。どうにも面倒だが、それをなくすためには私と咲子にはまだ時間が必要だ。
 そこで会話は止まった。私と咲子は無言で湖を見ていた。気まずくなったわけではないが、私は「それじゃあ、お風呂に行ってくるよ」と言って立ち上がった。
「行ってらっしゃい」
 咲子の声がした。行ってらっしゃい……もし私が咲子と結婚したら、毎朝咲子はそう言って私を送り出してくれるのだろうか。
 お嬢様のご機嫌がいつ変わるのかわからない。自分を飾ってまで私は咲子に気に入られようとは思わない。もしと言う言葉は禁句だ。
 湯に浸かりながら考えた。全てが出来過ぎている。統括課長から体育館の館長に左遷されても構わない。コツコツ働いて、退職後は家庭菜園でもして静かに暮らす。私はそれを望んでいるのではないか。
 部屋に戻ると、ホテルのスタッフによって布団はあげられ、座卓の上には朝食の用意がされていた。咲子はまだ窓の向こうの然別湖を見ている。
「待たせたね」
「いいの。でもお腹ペコペコ」
「ははは」
「長谷川さん、笑わないで」
「咲子さんはいつもお腹がペコペコなんですね」
「私、食いしん坊なんです」
「ははは」
 私は食いしん坊だと告白した咲子を愛おしく思った。
 旅先の朝食は普段の朝食の何十倍も美味い。もちろん私も咲子もご飯をおかわりした。
 食事を終えて、私たちは出発の準備をした。
 部屋を出る前、私は咲子を抱き寄せた。私は咲子にキスをした。激しくない甘いキス。私は咲子の柔らかな体を感じた。ふっくらとした咲子の乳房。服の中に手を忍ばせて咲子の乳房を揉みたい。それからショーツの中に手を入れる。咲子の毛のない陰部を触る。目的地は咲子の割れ目の中。
 いやいやダメだダメだ。昨日の夜の続きは今ではない。今は中学生のようなキスで終わらなければいけない(中学生がどんなふうにキスをするのか見たことはないが)。
 昨日の夜の続きは今日の夜。おそらく咲子も今日の夜を待っているだろう……多分。
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