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千一夜
第5章 第二夜 パヴァーヌ ①

「ねぇねぇ、学年順位が十番以内になったら私とエッチして」
中学二年生の私は、体を摺り寄せて主人を誘った。
「無理」
私はあえなく完敗した。それは成績が落ちることより辛かったし、主人が付き合っていた姉を心の底から憎んだ。お姉ちゃんなんかいなくなればいい、姉の勝ち誇った笑顔が一瞬私の頭を過った。
「だったら健太のおちんちん見せて」
私は即座に作戦を変更した。
「おちんちんて、ちんぽ?」
「呼び方なんてどうでもいいの。私は健太のち・ん・ぽが見たい」
「何で?」
「健太のちんぽ見るのに理由なんかないわ。見たいから見たいの」
「君だってお父さんとお風呂に入ったことあるだろ」
この頃の主人はまだ私のことを君と言っていた(ときおり飛鳥ちゃんと呼んでくれることもあったが)。
「全くなし」
「まじで?」
「まじで」
私には父とお風呂に入った記憶がない。仕事一筋で会社を大きくしてきた父には、私とお風呂に入る時間なんかなかった。
「ねぇ、いいでしょ」
「……」
逡巡する主人が可愛かった。
「いいじゃない。健太のちんぽ見せてよ」
「三番、学年順位三番以内で考えよう」
「三番以内? それ無理だよ」
「じゃあこのゲームは無しだ」
一学年二百人で学年順位三番以内は厳しい。私の最高順位が三十五番、不可能に近い。
「……」
今度は私が逡巡した。
「やめにしよう。君が二十番以内になったら二人で高尾山に登ることのほうがより現実的だ。君が山に登るならの話だが」
「……」
高尾山なんかどうでもいい。私はどうしても主人のちんぽが見たい。
「決まりだな。二十番以内で」
「三番以内でお願いします。必ず三番以内になって健太のちんぽ見るんだから」
「高尾山諦めたのか、残念だな。登りたかったのに」
「何よ、自分が登りたかったんでしょ高尾山」
「ばれた?」
「ばか健太」
私と主人は大笑いした。
ゲームは……私の負け。学年順位は十二番になったが、三番になるという夢は叶えられなかった。
十二番という順位を知った日、私は人生で一番落ち込む日に……。
「がんばったな」
十二番が記された私の成績表を見て主人は私にそう言った。
「約束通り高尾山に登ろう。俺がお母さんと葵に言っておく」
葵は私の姉の名前。
「そしてもう一つご褒美だ」
主人が私の方を向いて立ち上がりジーンズのジッパーに手をかけた。
中学二年生の私は、体を摺り寄せて主人を誘った。
「無理」
私はあえなく完敗した。それは成績が落ちることより辛かったし、主人が付き合っていた姉を心の底から憎んだ。お姉ちゃんなんかいなくなればいい、姉の勝ち誇った笑顔が一瞬私の頭を過った。
「だったら健太のおちんちん見せて」
私は即座に作戦を変更した。
「おちんちんて、ちんぽ?」
「呼び方なんてどうでもいいの。私は健太のち・ん・ぽが見たい」
「何で?」
「健太のちんぽ見るのに理由なんかないわ。見たいから見たいの」
「君だってお父さんとお風呂に入ったことあるだろ」
この頃の主人はまだ私のことを君と言っていた(ときおり飛鳥ちゃんと呼んでくれることもあったが)。
「全くなし」
「まじで?」
「まじで」
私には父とお風呂に入った記憶がない。仕事一筋で会社を大きくしてきた父には、私とお風呂に入る時間なんかなかった。
「ねぇ、いいでしょ」
「……」
逡巡する主人が可愛かった。
「いいじゃない。健太のちんぽ見せてよ」
「三番、学年順位三番以内で考えよう」
「三番以内? それ無理だよ」
「じゃあこのゲームは無しだ」
一学年二百人で学年順位三番以内は厳しい。私の最高順位が三十五番、不可能に近い。
「……」
今度は私が逡巡した。
「やめにしよう。君が二十番以内になったら二人で高尾山に登ることのほうがより現実的だ。君が山に登るならの話だが」
「……」
高尾山なんかどうでもいい。私はどうしても主人のちんぽが見たい。
「決まりだな。二十番以内で」
「三番以内でお願いします。必ず三番以内になって健太のちんぽ見るんだから」
「高尾山諦めたのか、残念だな。登りたかったのに」
「何よ、自分が登りたかったんでしょ高尾山」
「ばれた?」
「ばか健太」
私と主人は大笑いした。
ゲームは……私の負け。学年順位は十二番になったが、三番になるという夢は叶えられなかった。
十二番という順位を知った日、私は人生で一番落ち込む日に……。
「がんばったな」
十二番が記された私の成績表を見て主人は私にそう言った。
「約束通り高尾山に登ろう。俺がお母さんと葵に言っておく」
葵は私の姉の名前。
「そしてもう一つご褒美だ」
主人が私の方を向いて立ち上がりジーンズのジッパーに手をかけた。

