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千一夜
第6章 第二夜 パヴァーヌ ②
 高校一年の夏休みが終わり二学期が始まった。
 私は毎晩主人のことを思い、自分で自分を慰めていた。ゲームも一つ一つステップアップしていった。主人のおちんちんは見たし、お互い下着姿で抱き合うということにも成功した(残念ながら抱き合うだけで、主人のおちんちんが私のおま×こに入ってくることはなかった。もちろんキスはしたけど)。
 来月は中間テストがある。私はゲームのご褒美のことばかり考えながら九月を過ごしていた。
 九月も終わろうとしている日曜日のことだった。その日曜日、我が家にいつもとは違う出来事が二つ起こった。
 一つ目、父の在宅。
 日曜日に父が家にいることはまずない。父は唯一の趣味であるゴルフをするために毎週日曜日はゴルフ場に出かける。少しくらい強い雨が降っていても父はゴルフをする。
 こんなことがあった。土曜日から降り始めた雪のため、ゴルフ場からクローズの連絡が入ると、日曜の朝、父はゴルフのために新幹線で関西に向かいその町のゴルフ場でプレイをした。そして翌日早朝飛行機で東京に戻り会社に出勤した。
 だからなぜ父が家にいるのか私は不思議だった。
 二つ目、主人が我が家にやってきた。
 日曜は家庭教師の日ではない。それに日曜は家に母がいる。母がいる家に主人は姉とセックスをするために来るはずがない。そして主人はその日スーツを着ていた(私は初めて主人のスーツ姿を見た)。理髪店に行ってきたことも主人の頭を見ればわかった。スーツ姿の主人もエリートを気取ったような髪型も私は嫌いだ。大嫌いだ。
 もっと嫌いなのは、玄関で出迎えた私に主人が目をよこさなかったことだ。いつもだったら「よう」とか「勉強してたか」とか私の目を見て声をかけてくれるのに。その日主人の目には私が映っていなかったのだ。私はそんな主人に腹を立てた。
 主人が目を向けていたの私の隣に立っていた姉だった。いつもはラフな服装の姉だが、この日はベージュのブラウスにロイヤルブルーのスカートを穿いていた。ブルーは姉のお気に入りの色。姉の表情を伺うと、柔らかな笑みを主人に向けていた。
 許せなかった。この事態を知らなかったのは私と父だった。今日父が家にいることを母が姉に伝えていたのだ。それに先週の家庭教師の日も、主人はいつもと変わりがなかった。授業が終わると主人は私にキスをしてくれたのに。私は主人に裏切られた。
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