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千一夜
第6章 第二夜 パヴァーヌ ②
 あの日を境にして我が家は大きく変わった。
 いつもと変わらないのは父だけ、忙しい仕事のせいで父の帰宅は毎日遅く、休みの日には必ずゴルフに出かけた。少ない母との会話も、さらに少なくなっていった。帰宅した父を玄関で出迎えるとき、母が「お帰りなさい」と言っても父は母の顔を見ることもなく無視した。
 反対に母と姉が、父や私に隠れて何かを話していることが多くなった。姉が仕事から帰ってくると(姉は美術館の学芸員をしている)、母は姉の部屋に向かった。十分くらいだろうか(長いときは三十分くらい母が姉の部屋から出てこなかった)母は姉の部屋に入って何か(間違いなく主人のことだ)を姉と話しているようだった。母と姉の会話の内容を想像するだけで私は気が変になりそうだった。作戦のようなものを母は姉に教えているのだろうか?
 母は姉の味方だ。主人と別れろとは言わないはずだ。悲しいかな私が今頼れるのは父だけだった。日頃から父と娘のコミュニケーションなんか皆無で、父は私の力にはならなかった。
 しかし、一番辛かったのは主人と会えないということだった。
 主人は私の家庭教師をくびになったのだ。くびにしたのは言うまでもなく父だ。私はそのことについて強く抗議したが、いつも庇ってくれる母は、このときだけは私の側についてくれなかった。
「健太が飛鳥の勉強をみてやれなくなってごめんね」
 と姉は私に謝った。私は姉を無視した。私の主人を呼び捨てにする姉が気に食わなかった。姉が私に話しかけても私はずっと姉という存在をスルーした。
 私は姉に言ってやりたかった。私は健太と下着姿で抱き合ったこともあるんだと。そのとき健太は私にキスをして私の自慢のポニーテールの髪を優しくなでてくれたんだと。でも言えなかった。
 気分がすぐれない日は十月に入っても変わらない。その頃私はベッドに入ってもオナニーをしなかった。主人は想像できても、その主人が私から離れていこうとしているのだ。私の手は胸やおま×こに伸びて行かなかった。
 そしてしばらく普段通りの日が続いた。事が決して好転しなくても、何事も起きない日々は私に安らぎを与えた。だから主人は絶対に遠くへは行かない。それは私の祈りだった。
 だが私のその願いにとどめが刺された。
 主人が姉と婚約したのだ。
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