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千一夜
第48章 第7夜 訪問者 正体
「そやけど何でご主人の実家に住むことになりはったんですか? ご主人、お家があるんでっしゃろ?」 
 樋口のその疑問に答えるのに時間はかからない。そう決めたのは咲子の父遠山高獅だ。
 市長になってからでなければ、私は遠山の家に入ることができない。かと言って今私が住んでいる平屋建ての家(生涯一人暮らしだと思って建てた家)では狭すぎる。そこで咲子の父はこう言ったのだ。「だったら長谷川君に実家にお世話になりなさい」と。
 遠山高獅の提案に咲子はこう言った。「亮ちゃんがどんな家で暮らしていたのかすごく興味がある」と。そんな咲子とは反対に私は憂鬱だった。遠山の娘が庶民の家に入る。どうなるかは大体予想できた。そして私の予想は的中した(少しも外れることなく)。
「なるほど、市長になるいうのも大変なんですな。ご主人、ご苦労様です」
 樋口にこうなったいきさつを説明したら、樋口から労いの言葉をかけられた。
「樋口さん、今の私の部屋は主人の部屋なの。主人が高校まで過ごした六畳の勉強部屋」
「ほう」
「主人、勉強だけはできたのよ」
「失礼な言い方はやめてくれ。俺は勉強以外にもいろいろとがんばってきた」
「はいはい。で、樋口さんね、今でも主人の部屋には高校時代の参考書とか問題集とかあるのよ」
「そんだけ勉強しはったら、ご主人、学校はどこ出はられました?」
「K応です」
「ご主人、ぼんぼんやん」
「ぼんぼんかどうかわからないけど、僕以外の学生は金には苦労してませんでしたね」
「そやったら、ご主人、どないしてはったん?」
「家庭教師と塾、そして新橋の喫茶店でアルバイトをしてました」
 金のない学生時代が頭を過った。
「苦労しはったんやな」
「どうでしょうね。でも、そのせいで勉強には集中できたと思いますよ」
「さすがやな。世の中そういう人が偉くならなぁあかん。○○市の人は幸せや。苦労しはった人が市長になるさかいな。上に立つものは苦労せなあかん。奥さん、そう思いますやろ?」
「ふふふ」
「奥さん、どないしはりました? まだおもろい話あるんですか?」
「ふふふ、あるわよ」
「おい、もうやめてくれよ。頼むから勘弁してくれ」
「どうしようかしら、ふふふ」
「奥さん、ここは奈良や。関西人はおもろい話で飯三杯食べるんでよろしゅうお願いします」
「ふふふ」
「……」
 

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