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千一夜
第52章 第七夜 本当の顔
「……」
 中学二年生の女の子が書いた本に私は驚いた。そしてその本を書いた女の子が主役を演じた。彼女の演技はどうだったのか? 
「驚いたというより怖かったですね」
「怖かったとはどういうことでしょうか?」
「幼馴染の都子ちゃんにそういう才能があったなんて知りませんでした」
「才能があったということはお芝居が上手かったということですよね?」
「ええ、上手いなんてものじゃなかったですよ。都子ちゃん以外全員演劇部なのに、その部員たちがいつもとは違う雰囲気にのまれてしまって、台詞だって棒読み、台詞が出てこない部員もいましたね。でも都子ちゃんだけは輝いていた。都子ちゃんこそ本物の演劇部員。やっぱり人前で演技するって恥ずかしいじゃないですか、でも都子ちゃんは声も大きく、堂々としていて、テレビに出ている本物の役者さんのように感じましたよ。誰に教わったわけでもないのに、今思えばあのお芝居は都子ちゃんの独り芝居だったかもしれませんね。これは噂なんですけど、そのお芝居のせいで東京から都子ちゃんをスカウトに来た芸能事務所があったとか。だから私、都子ちゃんに訊ねたんです『都子ちゃん東京に行っちゃうの?』って」
「江村さんはどう答えたんですか?」
「彼女、首を横に振って『東京には行かないよ』って言ってました。もし都子ちゃんにそういうチャンスがあって、東京に行っていたら、今頃は大女優になっていたかもしれません」
「江村都子さん、男の子たちからもてたでしょ?」
 咲子がそう言った。咲子は遠海ではなく、遠海が持ってきた写真に写っている都子に訊ねているようだった。もちろん写真の江村都子は答えない。代わりに遠海が答えた。
「もてたなんてものじゃなかったです。休み時間や下校のときなんて上級生から引っ切り無しに呼び出されて、今風に言えば告られてましたね。そういう状況を快く思わない先生が、何度も上級生に注意してました」
「人を好きになって注意されるってなんて何だかおかしいわ」
「中学三年生は受験が控えている。そういうところを注意したかったんだよ。勉強を疎かにするなとね」
 私は先生の代わりに咲子にそう答えた。
 同じ顔をした沢田絵里と立花京子、そして江村都子。三人の女を同時に追うことはできない。今フォーカスすべきは江村都子だ。
 そう私が思ったとき、遠海舞が江村都子についてまた話し出した。

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