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千一夜
第52章 第七夜 本当の顔
「都子ちゃんは有名な作家さんの長編や短編から、私の知らない作家の作品まで読み漁っていまっしたね」
「読み漁る?」
「そうです。文芸部ですから放課後はずっと部室にいたみたいですよ」
「それで江村さんが激賞したという作品は何ですか?」
「長谷川さん、当ててみてください」
 遠海は悪戯っぽい笑みを浮かべて私にそう訊ねた。
「無理ですよ。ミステリーを書いている作家さんは十人や二十人じゃない。江戸川乱歩、横溝正史、海野十三、それに海外の作家も入れれば推理作家は星の数ほどいる。その中から当てて見ろと言われても」
「ヒント、海外の作家さんではありません。とても有名な作家さんです。私もその作家さんの本は何冊か読みました。原作はテレビドラマや映画にもなっています」
「……」
 本が嫌いなわけではない。だが、最近はめっきり読書する時間がなくなった。遠海も読んだと言う作家、おそらくベストセラーを連発している作家に違いない。
「どうですか?」
 意地を張るわけではないが、遠海に降参したくなかった。
「咲子は誰だと思う?」
 私はショートケーキを咀嚼している咲子に訊ねた。
「ずばり東野圭吾。どう?」
「ふふふ。奥さん、正解です」
「東野圭吾さんですか?」
 有名なんてものじゃない。有名に超がつく作家。書く本はすべて重版。おそらく本を読まない人の中にも東野圭吾の名前を知っている人がいるかもしれない。
「私だって東野圭吾は読むんです」
 そう言って勝ち誇った目を咲子は私に寄越した。
「確か都子ちゃんは、その本を自分のバイブルだとか言ってましたね」
「バイブル……それはつまり江村さんにとって聖書ということでしょうか?」
「だと思います。都子ちゃんはその分厚い文庫本を肌身離さず持っていましたから。そう言えばこんなことも言ってましたよ『自分が壊れそうなときにこの本を読むの』って。自分が壊れそうだなんていかにも文学少女だなと思いました」
「女子高生にも悩みはあるのよ」
 咲子がそう言った。
「私は都子ちゃんの親友だと思っていたんですが、私は都子ちゃんの悩みを全然知らなかった……私は都子ちゃんを本当に理解していたのだろうか……何だかそう思うと切なくて」
「親友にも打ち明けられない悩みはありますよ」
 咲子が遠海に寄り添うようにそう言った。
 江村都子が肌身離さず持っていた東野圭吾の本とは……。
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